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カルテット・マジコ  作者: piku2dgod
issue#02 UNDERTALE

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112/292

issue#02 I I I UNDERTALE CHAPTER 03 06

アフターバーナーを炸裂させて衝撃波を置き去りに加速した彼女は、すぐさま別空域に達し、戦闘機群の背後へと滑り込む。


「……そちらの生徒さん、まだご退塾には早すぎますよ? 当塾では、おひとりずつに合わせた“個別強化プログラム”もご用意しておりますのでね!」


明朗な声とともに、焔の少女は滑り台を降るような急角度の弧線で、散開を図る全長18mの機体へ突入した。相対速度を巧みに合わせ、機体の脇にぴたりと身を寄せる。その一瞬で掌から投じられたバーナーブレードが、装甲の表面を音もなく断ち割る。


しかし、そこからは逆に、ホットショットにとってのちょっとした驚きの瞬間となった。

焼き切られた胴部が赤い断面を晒すと、損傷に気付いた内部の兵士は

なんとキャノピーをみずからの拳で叩き割り、勢いそのまま機外へと身を躍らせたのだ。


「おらぁッッ、往生せいや!」


そして一直線で彼女に襲いかかる。


「おっ……!」


しかしホットショットは、ひらりと身をかわしながら、

「残念、だが意気はよし!」

と、即座に短評を返した。


空中でバランスを崩した兵士は、無為に1回転しつつ、

「クソッタレがよぉ!」

やむなく、無念の面持ちでパラシュートを展開し、ゆるやかに斜め下へと流れる。

残された機体は旋回途中でふらついた末にバランスを崩し、やがて2つの爆炎へと分かたれた。


炎の軌跡が、返す刀で別の一団の背後を取ると、

手から放たれる火弾が幾度となく宙を駆け、紅蓮の爆発が各所で花開く。

その圧力に殴られ、吹き飛んでいく敵機は、カーブで操縦を誤ったバイクのように制御を失い、

慣性に引かれて編隊から次々と脱落していった。


身をひねって次の標的へ頭を向けると、同じ掌からまた性質の異なる光が奔出する。それは光速のレーザーとして編隊の要を一息に横断し、戦闘機の翼や、支援機の、地底の熱で燻された鋼鉄のキャノピーを焼き裂いていった。


さらにホットショットはインメルマンターンで体勢を反転させ、その伸び上がった身体から、純粋な光熱のマイクロミサイルを無数に放つ。彼女の意志に呼応して細かく散開したそれらは、それぞれ別の敵影へと巧妙に正面から衝突し、小さな破壊を連鎖させていった。


爆散した機体を見送るように、パラシュートが次々と白い花を開く。夜空に垂れた幾筋もの青白い帯は、風に揺られ、やがて同じ高さに寄り添いながら、ひとつの緩やかで大いなる流れとなった。


……それは、都市の光と爆煙の狭間に架けられた、幻の橋。


逃げ場を失った兵たちの無防備なシルエットを連ねて、どこまでも続く光の橋。戦闘の熱が冷めた空に、それはただ、静謐と、かすかな哀愁とを漂わせていた。


「温泉にでも浸かるつもりでゆっくり降りろよ~!下でドローンの警備兵が待ってるからな!」


先刻の発言通り、「ゆめかわ暴力」すなわち「命までは取らない」をチームぐるみの信念とするカルテット・マジコの一番槍は、その上をただあざけるように掠め飛び、次の空域へと消えていった。


そこからのホットショットは、水面を跳ねる石のように三次元空間を奔放に駆け巡る。その軌道に一切の破綻はなく、きびきびとした動きは、まるで戦場と戯れているかのように愉悦の色さえ帯びていた。


1条の光跡をともない、空を支配する勢いで翔ける彼女に対し、敵機が牙を剥く。


「スクレイパー3より全機!目標、正面、距離7km!速すぎてロックできねぇ!見えてるヤツからミサイルをフルサルヴ ォでブチ込めェ!」


コールサインと共に猟犬のように殺到したミサイル群は、しかし目標の圧倒的な速度に追随できず、ビル壁に激突し、あるいは迎撃のレーザーに狩られ、光の仇花となって散っていく。


続くレーザー掃射も、結果は絶望的だった。


「クソッ、当たらん!ビームも効かねぇぞ、あの女光を喰ってやがる!作戦変更、今すぐだ!」


その報告通り、灼熱のレーザーパルスは炎の体表に虚しい波紋を描くだけで、その光さえもが彼女の内でエネルギーへと着実に変換されていく。


そうして力を蓄えた彼女が、ふいに身を翻した。

「プラズマに熱をぶつけるとね……より元気なプラズマになるんだよなあ、って。『みつを』……っと!」


その言葉を合図に放たれたのは、もはや砲と呼ぶべき光の奔流。荒々しいエネルギーの波紋を宿したそれは、


――ギュォォン!!


夜空を真一文字に灼き、進路上にいた機体を掠めるだけで瞬時に溶断する。光の柱はなおも衰えず、市街地の上空を貫いてはるか彼方の砂漠に達し、ようやく先端から粒子となって霧散した。


敵編隊の腹を削るように駆け抜けたホットショットは、燃え盛る身体を錐のようにねじり上げ、その炎の渦の中から再び数10発のミサイルを天へと撃ち上げた。


「お前らー!地上は任せたぞ!」

水平な身体のまま、後続の姉妹へ向けて景気良く叫ぶ。


高評価やブックマーク、本作のご紹介、Xのフォローなどで応援いただけますと幸いです。制作の大きな力になります。


https://x.com/piku2dgod


本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24843658

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25490740

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=26572256

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