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カルテット・マジコ  作者: piku2dgod
Issue#01 I I I Don't Want to Set the World on Fire

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Issue#01 I I I Don't Want to Set the World on Fire CHAPTER 01 01

こちらは、誤って削除してしまった同作の復旧版となります。


https://ncode.syosetu.com/n1467lv/1/


上記URLは、削除直後からの更新分を掲載している暫定ページです。

現在は並行して公開しておりますが、復旧作業が完了次第、内容を統合し、本ページを正式版として一本化する予定です。


いずれ「復旧版」の表記は取り外し、こちらを基準に作品を再構築いたします。


混乱を招いてしまい申し訳ありませんが、どうかご理解のほどよろしくお願いいたします。


本家(1話全文掲載済み)

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24843658

空縁すかいりむ州は白走ほわいとらん市――その郊外に広がる山林の地には、

上空から見たとき、ひときわ鮮やかに開けた一角がある。

まるで、大地にぽつんと浮かぶ10円ハゲさながらのその場所には、古雅な趣をたたえた建築群がひしめいてる。特徴ある意匠に目をとめれば、誰もがその正体を即座に知ることだろう。


――そう、これは寺だ。


仏教伝来のごく黎明期に創建されたこの古刹。

私有地となってからは、寺院としての名も役割も失われ、もっぱら「吉濱さんの家」で通っている。


……ここの本堂は広い。外観こそ、ひどくくたびれてはいるが、

その、砂気を帯びた鉄鋲打ち扉の向こうに広がる空間は、建立以来の端正な美観を保ち続けている。


床は一面の板張りで、満ちている空気には目をみはるほどの澄明さがあった。

やや高い位置に設けられた長方形の窓は、建物の長辺の壁面に等間隔で連なり、

そこから差し込む陽光は、框の真下の白壁にほんのりかかって、柱をなでながら、

微妙な角度で室内に降り注ぐ。


ひな壇の上にひしめく諸天の小像をはじめとした仏像群と、それを取り囲む荘厳具の数々――香炉、

幢幡、華鬘にいたるまで――素人目に見てもひととおりが過不足なく揃えられた調度品が

どうにも美しく見えてしまうのは、けして、物そのものの豪奢さだけに起因することではないだろう。


1辺が数mある結界の内にだけ、そうした宗教の華美が施され、でないところは極端に

がらんとして武張ったこの空間。そこに1枚だけ敷かれた座布団には、着物の女が座していた。


彼女の姿は一見するとあどけない子供のようだが、はたして実際のところはどうだろうか。

少なくとも、彼女が身に纏う着物は、とても「童女」にあてがうような物ではない。


そもそも和装というだけで相応の値が張る現代において、彼女のそれは明らかに次元が違っていた。

まるで絵巻物から抜け出してきたような――往時の公家を思わせる、息を呑むほどに格式高く、

重厚な逸品だったのだ。


さらにその上には、丹後ちりめんで仕立てられた白の羽織まで着重ねている。


淡く光を散らすそのしなやかな生地からは、焚き染められた白檀の香さえほのかに漂ってくるかのようで、ラメのように微細な光沢を帯びたその布地には、袖や裾の縁に近づくにつれ、

オレンジ色の鱗模様が、横線の本数によって徐々に現れてくる仕掛けが施されていた。


白く長く、まっすぐな髪もまた、遠目にもよく手入れが行き届いた上品な仕上がりをみせている。

その髪が額の左右で自然にかき分けられているのは、

そこに人ならざるものの証――すなわち、角が生えているからだ。

緑、白、桃色。まるで三色団子を思わせる配色の、鋭利な構造の突出だった。


「十二」単とはいかぬまでも、幾重にも着重ねられた衣の袖々が醸し出す段彩の文様は、

色とりどりの水がごとく、床へと静かに流れていく。その中心にあって背筋を真っすぐ据えた彼女の姿は、

まさに、完美なるひとつの山体としてそこに存在していた。そして、その沈黙の中には常に、思念の霊妙なるゆらめきが含まれていた。


――まもなく我々は、ひとつの気づきを得ることになる。

このままずっと続くかと思われた彼女の瞑想にも、じつは終わりどきがあるのだ……と。


2本角の淑女は、そういった事実を、ごくわずかな身動きによって、効率的に外界へと示す。


研ぎたての刃物で、横一文字のきざみ目を入れられていく皮のうすい果実のように、

両のまぶたが音もなく半開きにされていった。よく熟した赤い色の瞳が、

事の始まりのみずみずしさを保つがまま中からゆっくりと現れる。


けして険しくはないが、真剣なことにはかわりないその目つき……!


(――聞くがよい、わが子らよ。

これより我は母ではなく、かつて出雲の地に顕現した神のひと柱――

吉濱尚猛尊よしはまのなおたけりのみこととして、お前たちに命を下す。

ひっじょ~に大切な話があるゆえ、今すぐ本堂に集まるのじゃ。

この声を耳にした以上、遅れることは断じて許さんぞ――!)


鬼女の脳内にひらめいたこの言語性の思念は、ほどなくして公共の念波となり、

寺の境内を、ゆるやかに、けれどもたしかに、円を描くように渡っていった。


――その余韻がまだ堂内に漂ううち、


「なんなの母さん?テレパシーで呼ぶのいつもドキってなるからやめてほしいんだけど……」

「どうした?DAZOOMの解約ページにようやくたどり着けたのか?」

「あとにならない?お母さん!?いまデッキビルドしてるんだけど!」

「……みんな、ママの話真面目に聞こうって!」


ポップコーンが弾けるように、堂中あちらこちらの障子と扉が立て続けに開き、

追って4人の少女が姿をあらわした。しかもそれは……ほとんど同時と言ってよかった。




カルテット・マジコ




The Most Magically Chaotic Quartet on Earth!




issue01 I Don't Want to Set the World on Fire




サブタイトルの元ネタ:THE INK SPOTSの曲名(ゲーム『Fallout』シリーズでの楽曲使用を念頭において)。


この『カルテット・マジコ』というお話は『クォン・センダ』のあまった材料で作った「まかない」みたいなものです。

クォン・センダという作品は、私が自身の性癖たるインフレ志向の抑制に失敗した結果、当初の想定以上に、

主人公4人組の強さや、クォン・センダというチームの、作品世界に対する役割が大きな物語となってしまいました。

「地上の救済に来た神の物語」としての側面が強まりすぎたことで、主人公の4人組を、

弱点がそれなりにある人間だと仮定して書いていた頃のシナリオが、

下書き帳のなかでいたずらに幅を取り、だというのに2度と顧みられないということになってしまったのです。

機会があって、あらためてこれらの意欲的な廃材と向き合って私はこう考えました。

「これは、捨て去るには惜しいかもしれない――」

それで、新規のストーリーフォーマットを立ち上げることにしたのです。


この作品は、『クォン・センダ』と初志を共有した上で、それとはまた別角度の物語を描きだします。

両作の関係性とは、たとえるなら『ファンタスティック・フォー』と『X-MEN』のようなものです。

キャラクターの配置や物語の構造が似通っていたとしても、焦点となるテーマや

描写のトーンが変わるだけで、そこには独自の作風が出来上がるのです。

(余談ですが、これより皆さんが読むことになるこの物語の、チャプター1の展開【正体不明の人物が瞑想する様子→テレパシーによる呼びかけ→

主役が一斉に登場するシーン→各自の能力の披露→敵の紹介】は、まったく、モロに、完全に、『X-MEN』の1話を踏襲しています)


……『カルテット・マジコ』の柱となるコンセプトは以下のとおりです。

・舞台は現実の地球

・主人公の強さは、あくまで「人間の超能力者」の範囲に収める

・日常的・人間的なテーマを大切に描く


この方針のもと、私が創作の原点としている80年代のカートゥーン――『トランスフォーマー』『G.I.ジョー』『ヒーマン』や『タートルズ』の

テイストをあいかわらず適度に織り込みながら、より自由で気負いのない語り口で綴っていく予定です。

ざっくり言えば、「ちょっと知恵のついたガキが書いたタートルズの同人誌」に見えるようなら、こちらの狙いはだいたい伝わっていると思ってください。

そんなふうに、からかいの視線を交えながらでも――現代の創作が、子供向け作品においてさえいつの間にか手放してしまった

あの頃の“ノリ”を、どこかでふっと思い出してもらえたなら、それこそが私にとっての成功です。


『クォン・センダ』は、「自分にとって世界一面白い物語」を目指して書きました。その試みは成功していますが、

反面、完成度にこだわりすぎてしまった反動で、創作として停滞してしまった感も否めません。

だからこそ『カルテット・マジコ』では、“別荘”に滞在しているような気軽さと、なにより楽しさを軸に、気ままに物語を紡いでいければと思っています。以前よりも推敲を減らし、完璧を目指さず、少し肩の力を抜いた筆致で。

……これは、再出発というよりちょっとした寄り道です。

けれど、そんな寄り道から始まる物語が、思いがけず遠くへ運んでくれることもある――そう信じて、筆を取っています。

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