6.ルード殿下との面会
意外や意外、ルードとの面会は簡単にできた。キョウディッシュ王国の権力?
「いろんな種類の毒ってあると思うけど、随分レトロな毒を使ったんだね。銀食器でバレるような」
「なんで銀食器の事知ってるんだよ?」
「ああ、あれは俺らがお祝いのお返しという名目で王太子殿下に送ったものだからだ。その際に王太子殿下に『毒殺される恐れがあるから気をつけて~』という手紙も添えた」
「チッ、余計な事を」
「聞いてないの?王太子殿下の毒殺に成功したとしても貴方が国王になるという事はないわよ?王太子妃は御子を身籠っているのよ。当然王太子の御子。つまり、現・王太子が亡くなった時は次の王太子はその御子というわけよ」
さすがにこの情報は知らなかったようで、がっくりとしていた。まあ当然よね。知らなかっただけで、自分は‘王家反逆罪’になるのだもの。知っていれば毒殺なんて考えなかったでしょうね。
賢ければ、王太子妃も毒殺しようと思う所ですけど、どうやら賢くないようで。
「まぁ、情報って大事だよな」
「そうよね、ルード殿下は何か言う事ある?」
「兄上に「よい治世を」って伝えてくれないか?」
国王の座に固執してばかりのルード殿下よりもずっといい治世をするでしょうね。賢いですし、王太子妃も賢く美しく、外交手腕に長けていますし。
「了解しました」
「「では、さようなら」」
あ、スザンナ嬢について訊くの忘れた。
なんか、王宮で散々贅沢な暮らしをしておいて、ルード殿下が牢屋って段階になったら雲隠れしたみたいなのよね。今まで買った大量の宝石類と共に。
なんて女なんだろう。彼女にはルード殿下と一蓮托生って気はなかったみたい。ルード殿下が単なる金蔓だったのかな?王族のお金は100%税金だから、持ち逃げした宝石は返してもらいたい。
というより、スザンナ嬢に『窃盗・詐欺・偽証罪』がついている。
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第2王子なんて大した男でもなかったわ。結局牢屋に入っちゃって。危うく私まで牢屋に入れられちゃうところだったじゃない。
まぁ、すんでのところで、今まで手にした宝石類を持って王宮を脱出したわけだけど。
なんなの?街中に私の顔の手配書が張られてる!
酷いなぁ。
まぁ、今回の稼ぎを持って子爵家に匿ってもらうとしよう♪
なんなの?子爵家の入り口にも王宮騎士団?邸の中に入れないじゃない?
な~んちゃって、もともとが貧乏だもの。秘密の出入り口くらいあるのよ!
私はそこへと向かい、子爵家に入る事に成功した。
ハァ?なんで?義父様が騎士団長様とお茶してるの?
「あのような娘を養子にされて子爵殿も大変ですな?」
「いやはや、全く。風評被害と申しますか、私が行っている事業にも影響が出ますし、領地でも領民が「罪人の家に税金を納めるのか」と士気を下げている次第で。全くもって迷惑ですな」
そんなところに顔を出したら、そく騎士団につきだされる…。
私は子爵家をこっそりと抜け出し、他国へと行こうとした。港でも、船に乗るためには身分証明が必要。陸つながりでも検問所がある。八方ふさがり…。
なんか大変そう…