2.次なる復讐
えー、王太子殿下の御名はウィルフレッド=キョウディッシュ様。
「俺のことはウィルって呼べよ。俺はフィオナはフィオナだなぁ」
そういえば特に愛称で呼ばれた覚えはありませんね。家族を含め。
「そんで、俺とフィオナは婚約するわけだけど…フィオナの家族、キョウディッシュ王国に移住するか?」
まぁ、あの殿下が国王になるのならそれも考えましたけど、私という後ろ盾を失ったルード殿下が国王になることはまぁないでしょう。
「ルード殿下が間違って国王になった時には考えますわ。今アールディクス王国で王太子をしているのは王妃の御子でいらっしゃいますし、王太子妃でいらっしゃる方の家柄も公爵家だったかな?そんななのでよほどの事がない限り、ルード殿下が国王になる事はないと思います。私がルード殿下の婚約者だった理由は家柄です。ルード殿下の後ろ盾となる家となるためです。ですが、その後ろ盾すら失ったのです。それも自らの手で!無様ですわ。アラ?口が悪いかしら?」
「そんなことはない。俺は次はどうやってあの王子にダメージを与えようかと思ってる。そうか、ルード殿下は第2王子だったなぁ。交易路を絶ってもダメージを受けてしまうのは王太子殿下なのか、そうなるとむしろ第2王子であるルード殿下を喜ばせてしまいかねないな……」
「ピンポイントでルード殿下にダメージを与えるのって結構難しいですよね」
「……」
やっぱり難しいんだ。ウィルが考えに集中してるのかな?無口になっちゃった。スザンナ嬢を狙うというのはどうだろう?
あとは……明らかに第1王子の王太子が国王になるのを望んでますよ~っていうのをキョウディッシュ王国としてアピールしていくとかかなぁ?
スザンナ嬢の悪評は今に始まったことじゃないし、やはり国として第1王子推しの表明が効果的かな?
「父う…陛下に相談する必要がある事案なのだが、国として第1王子がアールディクス王国の国王になることを望んでいるということを表明すれば、少しは変わるかと思う。キョウディッシュ王国が表明したとなると、それに続く国も増えるだろう。そうなると、王太子はそのまま即位という流れとなるだろう。同時に第2王子であるルード殿下に国王という未来は100%ないと思わせられる」
私は聞いた。キョウディッシュ王国の陛下を父上と呼びそうになったのを。
「そうなった時に自暴自棄になったように王太子殿下を毒殺しようとか暗殺しようとか考えないといいんですけど。いや、そんな馬鹿げたことを!と思ったんですけど、ルード殿下とスザンナ嬢は頭がお花畑のおバカなお二人でしたね。王太子殿下に銀食器セットでも献上しようかしら?是非日常でお使いください。と」
「銀食器セットはいいね。銀が毒に反応するんだよね?大抵の毒はその反応でわかる。毒見係もいるだろうが、念には念を!」
お花畑は先読みがしやすくて楽です。ウィルが優秀なのもあるんですけどね。