第6話:捕食者との死闘
擬態した俺は岩になりきり、じっと息を殺していた。だが、グロウスパイダーの鋭い目は逃げ場のない俺を見逃さない。
カサ……カサカサ……。
グロウスパイダーはゆっくりと俺に近づいてくる。その長い脚が床を擦る音が、まるで死神の足音のように聞こえた。
(ヤバい……このままだと、確実に喰われる!)
俺は考えを巡らせた。真正面から戦えば勝ち目はない。しかし、ミミックの利点は何か? そう、俺には“待ち伏せ”ができる。
静かに、しかし確実に俺は少しずつ形を変えた。まるで地面に落ちている小さな岩が割れたかのように見せかける。グロウスパイダーがさらに近づいた、その瞬間――!
「ガバッ!!」
俺は一気に飛びかかり、グロウスパイダーの脚を食いちぎった!
「ギシャアアアア!!」
スパイダーは苦しげに叫び、暴れ回る。しかし、俺は離さない。初級ながらもスキル「擬態」の力を駆使し、体を締めつけながら獲物を確実に仕留めにかかる。
(やれる……! こいつを喰えば、俺はまた強くなれる!)
スパイダーの抵抗が次第に弱まり、最後にはピクリとも動かなくなった。
《グロウスパイダーを捕食。経験値を獲得》
(勝った……!)
俺はスパイダーの体を貪り、さらなる進化への一歩を踏み出した。
(この世界で生き延びるために……俺は、強くなる!)