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第19話:新たなる脅威

深い森を抜けた俺は、目の前に広がる広大な草原を見つめていた。


(ここからが新たな狩場……だが、慎重に行かないとな)


 洞窟の中とは違い、広々とした空間では影が限られる。俺の「影潜り」は完全な暗闇でこそ真価を発揮する能力だ。明るい場所では立ち回りに工夫が必要になる。


 俺は影の刃を呼び出し、周囲の気配を探る。すると、遠くの茂みが揺れ、複数の視線を感じた。


(何かがいる……!)


 慎重に身を低くしながら、気配の正体を探る。やがて、茂みの中から姿を現したのは、巨大な狼の群れだった。


「グルルル……」


 群れを率いるのは、一回り大きな黒狼。その眼は鋭く、まるで戦闘経験豊富な戦士のような威圧感を放っていた。


(なるほど……リーダー格がいるのか)


 俺の気配を察知したのか、黒狼が低く吠えた。すると、他の狼たちも一斉に唸り声を上げ、包囲網を敷き始める。


(囲まれるのはまずいな……なら、先手を取る!)


 俺は影の刃を振るい、最も近い狼に向かって突進した。刃が空を切り裂き、狼の毛皮を断つ。


「ギャゥン!」


 一匹を仕留めたことで、群れの動きが一瞬鈍る。しかし、黒狼は怯むことなく指示を出し、残った狼たちが一斉に飛びかかってきた。


(さすがリーダー……的確な指揮だ)


 俺は素早く影潜りを発動し、地面の影へと逃げ込む。しかし、黒狼はすぐに俺の動きを読んだのか、影の薄い場所へと群れを誘導し始めた。


(……コイツ、頭がいい!)


 影を奪われれば俺の戦闘スタイルは制限される。このままではジリ貧だ。


(なら、リーダーを先に仕留める!)


 俺は影の刃を槍状に変え、一気に黒狼に向かって突進した。黒狼もまた鋭い爪を光らせ、俺の攻撃に応じる。


「ガウッ!」


 俺の槍が黒狼の肩に食い込む。しかし、黒狼もまた俺の腕に噛みついた。


(クソッ……こいつ、力が強い!)


 俺は痛みを堪えながら影の刃をさらに深く突き刺す。黒狼が一瞬苦しげに呻き、俺の腕を放した。


「ギャウウ……」


 ぐらついた黒狼の体勢を見逃さず、俺は全力で影の刃を振り下ろした。


「ズバッ!」


 黒狼の身体が深く裂け、その場に崩れ落ちる。他の狼たちはリーダーを失ったことで動揺し、一気に退却していった。


(……なんとか勝てたか)


 息を整えながら、俺は黒狼の死体を見つめる。リーダー格の魔物は強く、そして知恵もある。もし俺がこのまま進化を続けなければ、いつか自分が狩られる側になるかもしれない。


(俺はもっと強くならなければならない)


 そう決意を新たにし、俺は次なる戦場へと足を踏み出した。


 ――そして、その背後では、新たな影が俺の動きを見守っていた……。



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