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第17話:影の狩人、決断の刻

冒険者たちとの戦いが終わり、俺は深い呼吸を整えながら戦場となった洞窟の一角を見渡した。闇の中で繰り広げられた戦いは、俺にとってこれまでで最も過酷なものだった。しかし、その分、俺はさらに強くなれた。


(俺は……確かに成長している)


 だが、それと同時に、これまでのようにただ力をつけて生き延びるだけではいられないという実感も湧いていた。冒険者たちの言葉を思い出す。


『影を操る魔物……このまま野放しにはできない』


(……俺は、すでに人間たちの世界から目をつけられているのか?)


 今までは魔物として狩るか狩られるか、それだけの単純な世界で生きてきた。しかし、俺の力が増すほどに、より強い敵と対峙することになる。そして、その敵は単なる魔物ではなく、人間という種族そのものになるかもしれない。


 俺は影の中に溶け込みながら洞窟の奥へと進んだ。今は休息と、次の行動を考える時間が必要だ。洞窟の奥に辿り着くと、そこには水晶のような輝きを持つ鉱石が点在していた。淡い青い光を放ち、洞窟の中に幻想的な雰囲気を作り出している。


(これは……魔力を帯びた鉱石か?)


 俺はそっと指先で触れてみる。微かに温かみを感じ、手に馴染む不思議な感触があった。試しに影の刃を展開してみると、その鉱石の光が反応するように、刃の先がかすかに輝いた。


(まさか、こいつは……俺の影の力と相性がいい?)


 新たな可能性に胸を躍らせるが、今はそれよりも優先すべきことがある。俺が生き延びるためには、この洞窟を出て、より広い世界を知る必要がある。


(ここに留まり続ければ、いずれ冒険者の討伐隊が来るだろう)


 そして、俺が今のままで勝てる保証はない。俺はまだ進化の途中だ。もっと強くなるためには、さらに強い敵と戦い、力を得る必要がある。


(決めた……俺は、この洞窟を出る)


 かつてはただのスライムのような魔物だった俺が、ここまで成長できた。ならば、もっと先へ進めるはずだ。


 影の力を纏いながら、俺は洞窟の出口へと向かった。


 新たな狩場へ。


 新たな敵との出会いへ。


 そして――俺の運命を変える、さらなる進化のために。



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