第15話:影と炎の激突
洞窟内に緊張が張り詰める。俺と冒険者たちの戦いは、まさに一瞬の判断が生死を分ける状況に突入していた。
(次の一手で決める……!)
俺は影の刃をより鋭くし、形状を槍のように変化させた。一撃で相手の急所を貫くための攻撃。だが、向こうもただの人間ではない。長年の戦闘経験からか、隙を見せることはなかった。
「この魔物……影を自由自在に操る能力を持っているが、弱点がないわけではないはずだ」
魔術師が冷静に言葉を紡ぐ。彼の目が鋭く俺を分析しているのがわかる。
「影の中に潜り込める能力……そして、影を武器として操る力。ならば、影そのものを消せばいい」
戦士が頷き、すぐに魔術師へ指示を出す。
「やれるか?」
「ああ、試してみるさ!」
魔術師が詠唱を始める。その詠唱から感じるのは、強烈な熱気。そして、俺が最も警戒すべき“光”の気配。
(これは……!)
「《フレアバースト》!!」
魔術師の詠唱が終わると同時に、爆発的な炎が洞窟内を包み込んだ。炎の光が辺りを照らし、俺の影をかき消していく。
(クソッ、影が……!)
影潜りが封じられた俺は、仕方なく壁を蹴って後方へ跳び退る。しかし、炎はそれだけでは終わらなかった。爆発の勢いで洞窟の天井が崩れ、大きな岩が俺の進路を塞ぐ。
「今だ、仕留めろ!」
戦士が大剣を振りかぶり、俺に向かって突進してくる。だが、俺もただ逃げるつもりはない。
(炎で影が消えたとしても……攻撃手段はまだある!)
俺は影の刃を自身の腕に巻き付け、双剣のような形状に変化させた。そして、正面から戦士の攻撃を迎え撃つ。
「ハァァッ!!」
剣と剣が激しくぶつかり合う。俺の影の刃は実体を持たないが、戦士の剣と正面から打ち合うことができる。
「この魔物……純粋な力も持っているのか……!」
戦士が驚いた表情を見せるが、俺はそれに構わずさらに一撃を放つ。
「くっ……!?」
戦士は後退しながらも、体勢を崩さずに踏みとどまる。だが、俺はこの瞬間を見逃さなかった。
「終わりだ!」
俺は影の刃を槍状に変え、一直線に戦士の胸元へと突き出す。
しかし――
「させるかぁ!!」
レンジャーが横から矢を放つ。俺は咄嗟に身を翻し、矢を避けるが、その一瞬の隙を突いて戦士が再び距離を詰める。
「ぐっ……!」
俺の攻撃は届かず、逆に相手の剣が俺の体をかすめる。
(まずい……このままじゃ持久戦になれば不利だ)
俺はすぐに後退し、態勢を立て直そうとする。しかし、魔術師が再び詠唱を始めているのがわかった。
(今度こそ決めないと……!)
俺は最後の賭けに出ることを決意した。
(影の刃を最大限に活用し、敵を一気に無力化する!)
影を操る力を極限まで高め、俺は冒険者たちとの戦いの決着をつけるべく、次なる一手を放とうとしていた――!