表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/20

第14話:闇に舞う狩人

冒険者たちの動きを影の中からじっと観察する。彼らは洞窟の奥へと慎重に進んでいた。


「ここまで来る途中、魔物の気配はなかった。だが、何かがおかしい」


 鎧をまとった戦士が周囲を警戒しながら低く呟く。


「気配がないのはむしろ異常だな……普通なら小型の魔物がうろついているはずだが」


 レンジャーが弓を構えながら周囲を見回す。魔術師もまた、慎重に杖を握り締めている。


(俺の影潜りの力がどこまで通じるか……試してみるか)


 俺は彼らの真後ろまで影を伸ばし、じりじりと忍び寄る。呼吸を殺し、音を立てずに気配を消す。完全な暗闇ならともかく、影がある限り俺の存在は察知されにくい。


(まずは、先制攻撃だ)


 俺は影の刃を具現化し、素早くレンジャーの背後に迫る。そして、一気に振り下ろした――。


「うわっ!?」


 レンジャーが咄嗟に身を捻り、寸前で回避した。しかし、彼の肩に浅い傷が刻まれる。


「敵襲! 気をつけろ、見えない何かがいる!」


「チッ、回避したか……だが、次はそうはいかない」


 俺は影の中へと素早く潜り込む。視界から完全に消えた俺に、冒険者たちは混乱しながら警戒を強めた。


「この魔物……影の中に潜んでいるのか?」


「影を操る能力者か……厄介な相手だな」


 魔術師が鋭い視線を周囲に向ける。そして、次の瞬間――


「《ライトフラッシュ》!」


 閃光が洞窟内に炸裂した。強烈な光が影を薄れさせ、俺の隠れ場所を奪っていく。


(くっ、影が消えていく!?)


 光の影響で一瞬、俺の姿が露わになる。そこを狙って戦士が大剣を振り下ろしてきた。


「もらった!」


 だが、俺は素早く横へと跳び、刃を躱す。


(影の力を封じられると厳しいな……だが、俺にはまだ手がある)


 俺は影の刃を両腕に纏い、形状を変化させる。右腕には鋭利な槍のような突き刺し攻撃用の影刃、左腕には鞭のようにしなる形状の影刃を作り出した。


「影の力を侮るなよ……!」


 俺は影の鞭を素早くレンジャーに叩きつける。避ける間もなく、彼の足が捕らえられた。


「しまっ……ぐあっ!」


 影の槍を突き出し、レンジャーの肩に突き刺す。致命傷には至らないが、十分なダメージを与えた。


「くそっ、こいつ……!」


 魔術師が即座に反撃の魔法を詠唱する。


「《ファイアボルト》!」


 炎の矢が俺に向かって飛んでくる。だが、俺は影潜りを使い、地面の影へと逃げ込む。


「無駄だ……影がある限り、俺はどこへでも潜むことができる!」


 俺は一瞬で背後に回り込み、影の刃を振るう。魔術師は咄嗟に魔法障壁を張ったが、影の刃はその表面を裂き、微かな傷を与えた。


「バカな……!」


(影の刃は魔力を帯びた攻撃にも干渉できる……これは使える!)


 俺はさらに攻撃を仕掛けようとしたが、戦士がすかさず間に割って入る。


「これ以上好きにはさせんぞ!」


 戦士の一撃をまともに受ければ、さすがに危険だ。俺は影潜りで即座に離脱し、再び距離を取る。


(……まずいな。連携を崩さないと、俺の戦法が通じなくなる)


 冒険者たちは既に俺の戦い方をある程度理解し始めている。次に仕掛けるなら、確実に仕留められる一撃が必要だ。


(なら……新たな力を試すか)


 俺は影の刃を再び変化させ、さらなる攻撃を準備した。


 次の一手が、この戦いの決着を左右する――!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ