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第12話:影の刃、閃く時

ゴブリンチーフとの戦いを終えた俺は、体内に満ちる新たな力を感じていた。


(「影の刃」……どんなスキルなのか試してみるか)


 洞窟の岩陰に身を潜めながら、俺は意識を集中し、新たに獲得したスキルを発動する。


《スキル「影の刃」発動》


 すると、自分の影がゆらりと揺れ、まるで生き物のように形を変え始めた。そして次の瞬間――俺の体から伸びた影が、鋭利な刃へと変化した。


(これは……!)


 長さはおよそ人間の剣ほどだが、漆黒の光を帯び、まるで夜そのものを切り裂くような威圧感を放っている。


(ただの刃じゃない……この影、自在に操れるのか?)


 俺は試しに影の刃を振るってみた。すると、普通の剣とは違い、刃の軌道がまるで生きているかのように流動的に変化する。さらに、意識を集中すれば、刃の形状も自由に変えられることが分かった。


(なるほど……これは剣というより、“変幻自在の武器”って感じだな)


 使い方次第では、遠距離攻撃にも応用できそうだ。俺はそのまま影の刃を壁に向かって振るい、試しに攻撃してみる。


「シュンッ!」


 刃が音もなく空を裂き、岩壁に触れた瞬間――「ズバッ!」と深い切れ込みが刻まれた。


(すごいな……物理的な武器と違って、力を込めなくても切れ味が維持される。影の特性を利用した斬撃か)


 これなら、俺の奇襲戦法にも幅が広がる。


 そんなことを考えていると、遠くから何かの気配を感じた。


(……誰かいる)


 気配の主を探るべく、俺は静かに影へと溶け込み、音を立てずに接近する。


 視界の先には――三人の冒険者たちがいた。


 一人は鋼の鎧をまとった大柄な戦士、もう一人は弓を構えた俊敏そうなレンジャー、そして最後の一人はローブを纏った魔術師のようだった。


(まずいな……今の俺では三人同時に相手をするのは危険かもしれない)


 だが、彼らが何を目的にこの洞窟へ来たのか気になる。もしかすると、俺の狩場を荒らしに来たのかもしれないし、あるいは――俺自身を狩りに来た可能性もある。


(慎重に行こう)


 俺は影の中に潜みながら、彼らの会話を盗み聞く。


「この先にゴブリンチーフがいたはずだが……もう倒された形跡があるな」


「痕跡を見る限り、何か得体の知れない魔物が戦ったようだな。通常の剣や槍の傷じゃない。まるで影を操る何者かが斬りつけたような、不自然な切れ込みが残っている」


「影……? そんな魔物がこの洞窟にいるのか?」


(……なるほど、俺の存在には気づかれていないが、少なくとも何者かがこの洞窟で異変を起こしていることは察知しているわけか)


 どうする? 今なら先制攻撃も可能だが、三人を一度に相手にするのはリスクが高い。


(……なら、ひとまず様子を見るか)


 俺は影の中で息を潜め、彼らの動きを見守ることにした――。

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