第11話:暗闇の狩場
新たなスキル「暗殺牙」を手に入れた俺は、さらなる獲物を求めて洞窟の奥深くへと進んでいた。
闇に紛れ、影の中を自在に移動できる俺にとって、この薄暗い洞窟はまさに理想の狩場だった。
(ここなら、俺の力を存分に試せる……)
しばらく進むと、遠くで複数の足音が聞こえてきた。物陰に潜みながら様子を窺うと、そこにいたのはゴブリンの集団――だが、先ほどのウォリアーよりもさらに強そうな個体がいる。
(……あれは、ゴブリンチーフか?)
体格はゴブリンウォリアーより一回り大きく、身につけている装備も質が良さそうだ。腰には短剣を差し、鎧らしきものを身につけている。さらに、周囲には数体のゴブリンウォリアーが護衛として付き従っていた。
(……ちょうどいい相手だ)
俺は静かに影の中へ潜り込み、奴らの後ろへと忍び寄る。
まずは、護衛のウォリアーたちを各個撃破する。
俺は「影潜り」を使いながら敵の背後に回り込み、「暗殺牙」で一気に急所を狙った。
「ガッ……!」
悲鳴を上げる間もなく、一匹目のゴブリンウォリアーの喉を噛み千切る。
だが、残りのゴブリンたちは即座に異変を察知したようで、武器を構えて辺りを警戒し始めた。
(さすがに、そう簡単にはいかないか……だが、俺にはまだ手がある)
俺は「影縛り」を発動し、ゴブリンチーフの足を拘束する。
「グルルルッ!?」
突如として足を取られ、動きが鈍るゴブリンチーフ。その隙を突き、俺はさらに別のウォリアーへと飛びかかった。
「ガバッ!!」
今度は腹部を噛み裂き、内臓を引きずり出す。ウォリアーは断末魔の叫びを上げ、その場に崩れ落ちた。
(あと少し……!)
残る護衛は二体。だが、ゴブリンチーフが影の拘束を引き千切り、鋭い目で俺を睨みつけた。
「ギャアアア!!!」
甲高い咆哮が洞窟に響き渡ると、護衛たちの目つきが変わる。どうやら士気が上がったようだ。
(厄介なスキルを持ってるな……)
だが、俺もここで引くわけにはいかない。
すかさず影へ潜り込み、チーフの背後へ回る。そして「奇襲噛みつき」を発動し、奴の首筋に牙を突き立てた!
「グガアア!!」
鋭い痛みにのたうち回るチーフ。だが、奴はすぐに短剣を振り回し、俺を振り払った。
(まだ足りないか……なら、これでどうだ!)
俺は「暗殺牙」の力を最大限に発揮し、影の中から一気に跳びかかる。狙いは――チーフの心臓!
「ガアアアアア!!!」
俺の牙がチーフの胸を貫き、そのまま肉を引き裂く。
血を噴き出しながら、チーフはゆっくりと崩れ落ちた。
《ゴブリンチーフを捕食。経験値を獲得しました》
《レベル6に上昇》
《スキル「影の刃」獲得》
(影の刃……?)
確認すると、影を刃のように変化させ、実体のある武器として攻撃できるスキルらしい。
(これは使えそうだ……)
さらなる力を手に入れた俺は、次なる獲物を求めて再び闇の中へと溶け込んでいった――。