確定申告はデジタルですか?夜眠れないので考えてみた(53)
●確定申告はデジタルですか?夜眠れないので考えてみた(53)ー通貨3
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3月になりました。春ですね。確定申告の真最中ですね。個人のですけど。あと少しですよ。
でも、会社勤めで給与収入だけの方なら年末調整があるので確定申告は、ほぼ不要ですね。なので、確定申告なんて詳しくは知らない方が多いかも。高校の授業で習うかもですけど。
確定申告が必要な方とは、給与以外の収入がある方(副業している方や小説家さん?)や、給与収入だけでも2000万円を超える方でしょうか。
丁度、103万円の壁とか話題になっている(いた?)ので、収入とか所得とか控除ってどういうことなのか具体的に調べてみました。今回はそんな話です(...、デジタルどこ行った?)
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注意です。
素人が好奇心から調べてみたことなので信用しないでね! 「用語」なんかは勝手に作ってます。
参考資料は「令和6年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」です。確定申告に必要なことは、ほぼこの手引きで説明されています。特殊な所得(山林所得など)は別途の説明書が用意されているのですが給与所得なら大丈夫です、多分ね。
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「給与所得」とは
給与所得 = 給与収入 ー 給与控除
というイメージなのですが、手引きを参照したら、特段、給与控除を求めることなく給与所得が得られるようになっていて、
給与所得 = 給与控除関数(給与収入,特定支出,扶養親族,公的年金)
という関数のように感じましたです。給与収入が主たるパラメータで、残りはオプションです。
・給与収入は、会社からもらった源泉徴収票に記載の支払金額のことです。年収とか言いますね。給与収入により控除される金額が違います。
・特定支出は、サラリーマンの必要経費で、スーツ代や書籍費や研修費などの支出です。特定支出が給与控除の2分の1以上の場合に控除を受けることができる...、そうです。詳細は別途の説明書にですって。給与控除は最低55万円あるので27万5千円未満なら対象外。年収400万円だと62万円未満なら対象外。年間60万円の本を買うかな。趣味の本は除外で。1冊数万円を超える本もあるけど業務に使う本なら私費では購入しなくなくない? 別途の説明書を読んだら領収書はもちろん、明細書や会社の証明書の添付が必要で面倒そうでした。
・扶養親族は、給与収入が850万円以上で扶養親族が23歳未満(あるいは同一生計配偶者若しくは扶養親族が特別障害者)だと「(給与収入ー850万円)*0.1(最大15万円)」が控除される。給与収入が850万円未満なら対象外ですし、独身さんも対象外。ぐすん。
・公的年金は、給与所得と公的年金の雑所得が合計10万円以上の場合は最大10万円が控除される。年金もらって無いなら対象外。
...、と細かい条件はありますが、現役の独身さんならほぼ対象外です。
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そこで
給与所得 = 給与控除関数(給与収入,0,0,0)
と簡略化して、給与収入と給与所得のグラフを作りました。横軸は給与収入で0円から1000万円まで。縦軸は給与収入(青)と給与所得(緑)と、その差分である給与控除(赤)です。単位は万円。
給与控除は最低55万円で、給与収入161万9千円からは増加して、給与収入850万円で上限の195万円になるって知ってた? 給与控除は55万円固定ではないのです。
ところで。給与収入160万円付近からグラフが凸凹しているように見えますね? ええ、拡大して見ましょう。横軸は給与収入で、縦軸は給与所得(緑)です。
なんと給与収入161万9千円を超えると、給与所得は階段状になるのです。162万8千円以降はステップの幅は4千円で段差は2400円(税額120円相当)。こんなところにデジタルが!(誤用ですよー)
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給与控除のことを調べていたら謎があって。
給与収入2000万円以上の給与所得は、別表第五によれば1805万円なのです。給与収入4000万円でも給与所得は1805万円。ならば給与控除の上限は無いことになる。
手引きには給与収入2000万円以上に関する記載はなくて、上限195万円なのです。
謎です。どこかで改正されているのか見つからなかった。
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補足です。給与所得を計算する際の「控除」は3つあります。紛らわしいので書き出して見ました。
・給与所得控除・・・・・・・・(給与控除55万円〜)
・給与所得者の特定支出控除・・(サラリーマンの必要経費)
・所得金額調整控除・・・・・・(扶養親族と公的年金の2種類ある)
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「所得控除」とは
課税所得 = 合計所得 ー 所得控除
所得控除には、基礎控除・社会保険料控除・生命保険料控除・配偶者控除・扶養控除・医療費控除・寄付金控除、...、など多種あり、これらが本当(?)の控除です。課税対象となる金額(課税所得)は合計所得から所得控除が減額された値となるのです。合計所得は給与所得やその他の所得の合計です。
基礎控除は48万円。
...、だと思っていたのですが、手引きによると合計所得によって違うのでした。合計所得2400万円以下は48万円ですが、2450万円以下は32万円、2500万円以下は16万円。そして2500万円を超えると0円。合計所得2400万円な方は気にして頂くとして、たいていの人にとっては基礎控除は48万円ですね。
基礎控除48万円と給与控除55万円を合せると103万円となります。給与収入が103万円を超えると課税所得が0円以上となって所得税が発生するのです。これが103万円の壁。
実際には基礎控除の他にも控除はありますから、給与収入が103万円を少々超えても所得税は直ぐには発生しないでしょうね。だから恐らくですが、103万円という値自体に意味があるのではなくて、基礎控除の金額を改正して取りすぎている税額を是正することに意味があるのでしょうね。
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配偶者控除は、配偶者の合計所得が95万円までは(本人の合計所得が900万円以下の場合は)38万円の控除で、以降段階的に少なくなる(133万円を超えると0円)。合計所得が95万円だと給与収入は150万円。これが150万円の壁。
扶養控除は、平成21年1月2日以降に生まれた方は適用対象外ですって。何故かな? 配偶者控除が適応される場合は扶養控除は適用されないとの記載はありますが所得金額調整控除の扶養親族とは重複するのかな。
寄付金控除にはふるさと納税が含まれるのですが、確定申告を行なうとワンストップ特例の申請が無効になるので注意が必要らしいです。
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所得税(税額)を計算しよう!
所得税は課税所得によって違います。累進課税といって金額によって税率が違うのです。195万円までは5%、それ以上は10%、20%、23%、33%、40%、45%と上がって行きます。
例えば、給与収入が113万円になった場合、給与控除55万円と基礎控除48万円だけなら、課税所得は113万円ー55万円ー48万円=10万円です。税額は10万円の5%で5千円になります。税金払うのはイヤかもですが、95%は手取りとして残るのですよ。
給与収入1000万円の場合は課税所得は757万円で税額は110万5100円です。税率は23%なのですけど63万6千円引かれてこの金額になります。
意外と安いですか?
この所得税の他に、住民税(10%)や社会保険税(10数%)が加わりますし、特別復興税(2.1%)とかワケワカランし。
それから消費税(10%,8%)やガソリン税、酒税、固定資産税。自動車の税金もあるのよね。再生エネ賦課金も税金だよね。結果、五公五民。
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ん? 累進課税ってことはグラフは凹になるはずでは? 160万円付近で凸になっていない?
確かに。
これは給与控除の影響です。
給与控除は給与収入161万9千円までは55万円固定で、つまり給与収入が1万円増えると給与所得は1万円アップします。それが162万8千円を超えると6千円しかアップしないのです。それで税額の傾きが変わるのです。
所得控除と税率の変化点を明示したグラフです。
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手引きによると、税額に対する控除があるようです。配当控除、住宅借入金等特別控除、政党等寄付金等特別控除、住宅耐震改修特別控除です。それから令和6年特別税額控除。これ何なん?
控除は3段階ありますので、忘れず控除しましょう。
・収入に対する控除
・所得に対する控除
・税額に対する控除
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さて。2025年2月末の与党案で103万円の壁はどうなったんでしょうか。
報道によると、
・給与控除は、
給与収入190万円以下は、65万円(現行から10万円アップ)
給与収入190万円超えは、現行のまま(★ここ注意★)
・基礎控除は、
給与収入200万円以下は、95万円(現行から47万円アップ)
給与収入200万円超えは、58万円(現行から10万円アップ)
合計所得2350万円〜2400万円は、48万円(現行のまま)
合計所得2400万円〜2450万円は、32万円(現行のまま)
合計所得2450万円〜2500万円は、16万円(現行のまま)
合計所得2500万円〜は、0万円(現行のまま)
これで給与収入160万円以下だと給与控除と基礎控除で課税所得は0円となり、103万円の壁は160万円の壁となる、という案です。
それから2年間のみの暫定で、給与収入200万円〜850万円の方の基礎控除は88〜63万円ですって。2年間のみの暫定減税って税制度をいたずらに複雑にするだけではないかな。減税されるなら文句はいわない? 経理の方は大変では?
2年間の暫定減税は無視してグラフ作成します。
違いがあるのかどうか分かり難いですね。差分をグラフにしましょう。
まず、給与所得から。給与収入190万円超えは現行のままで差分は0円ですけど、横軸は同じにしました。縦軸が給与所得の差分です。
おや? 給与収入190万円未満で差分がマイナスになっています。グラフ作成時のバグかな?
現行では、給与収入190万円は「190000/4(千円未満切捨て)*2.8-80000」として給与所得を求めます。これが給与収入190万円までは65万円の給与控除となると、...グラフにしてみますね。
横軸は給与収入で、縦軸は現行の給与所得(緑)と与党案の給与所得(青)です。
このように190万円未満で給与所得の大小が逆転して、増額となるところがあるのです。多分、法律に落とし込む際にはパッチが当たると思います(...、与党案を詳細には調べていないので既に対処済みかもです)。
基礎控除の差分は自明なので略して、次は税額の差分です。
えっと。これは何?
給与収入160万円だと、給与控除10万円アップと基礎控除47万円アップの計57万円で、その5%なので、2万8500円減税。ここが減税マックス。
給与収入190万円だと、給与控除のアップはなくて、基礎控除47万円アップで、その5%なので2万3500円減税。
給与収入200万円超えなら、基礎控除10万円アップで、その5%なので5千円減税。給与収入400万円なら、10%で1万円減税。給与収入600万円なら、20%で2万円減税。給与収入1000万円だと、23%で2万3千円減税。
累進課税なので減額分も累進するのですね。
だけど、住民税や社会保険税なども考慮しないと税額への本当の影響は把握できないですね。住民税や社保の有無も壁になりますから。知りたいのは手取り額。配偶者控除の対象になっている方なら世帯での手取り額が気になりますよね。今後の課題です。
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2024年11月の国民民主党案は、基礎控除を現行48万円から75万円アップして123万円にするでした。給与控除55万円と123万円を合せて178万円の壁とする案です。
この場合の税額の差分をグラフにして見ました。75万円に税率を乗じた値が減税となるのですが、税率の境目では中間の値になります。
...。比べて見れば与党案(黒線)はショボいですね。減税は絶対にしたくないという強い意志があるのかな?
いわゆる「103万円の壁」は、給与収入が103万円前後の方だけを対象とした話ではなくて、ほぼ全ての方への減税案なのです。
5万円の給付より5万円の減税を! 給付金の財源のために増税するんだろ?
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2025年3月に国民民主党から「所得制限なしの150万円」について言及がありました。
これは給与控除は現行のまま55万円で、基礎控除は与党案と同額の95万円(47万円アップ)として、合計150万円。ただし給与収入200万円とかで基礎控除の額を制限しないという案ですね。
グラフにしましょう。黒色は与党案。青色が178万円案で、橙色が150万円案です。
うーむ。比べて見ると与党案は103万円という値をいじりながらも減税は最小限にしようと工夫した様子が透けて見えますね。
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ちょっと気になって、税額のグラフを年収1億円まで延ばしてみました。
給与収入1億円だと給与控除は195万円で課税所得は9805万円。基礎控除は0円。税率は最高の45%で、ここから479万6千円減額されて、税額は3932万6500円。
これだけ納税される方なら、費用が掛からないことで何か優遇されることがあっても良い感じ。長者番付とか?
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何度かチェックしましたが、もしも間違っていたらごめんなさい。
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雑感ですけど。
与党案だと給与収入200万円超えの境で(1円違うだけで)税額が1万8500円アップするという壁ができますけど。いいのかな? 基礎控除は同額が良い気がする。
給与控除は給与収入に応じて変化しますが、細かく刻んで変化していて(...、なので関数だと感じた)、税額だと120円とか640円程の段差にしている。
そもそも基礎控除は「収入」で決めてよいのか。「所得」で決めるべきではないのか。薄利多売な自営業が死んじゃわないかな?
給与収入の他の収入はどうするのでしょう。雑収入(原稿料とか)や事業収入がある方の基礎控除は(給与収入が0円なら)95万円でいいの? 年金暮らしの方も95万円?
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私「実質賃金がー 生活が辛いよー 物価上昇に負けないよう、お賃金のアップを!」
政府「そのためには企業が価格転嫁を力強く推し進めることが必要です」
私「....(価格転嫁って、物価上昇のこと?)」
友「賃金アップじゃなくて減税が必要。賃金アップしても税金で持っていかれるから。税金が問題では」
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以上です。
後で余談を加筆するかも。駄文ですけど。申告の仕方(紙だとアナログ?)とか、納税の仕方(キャッシュレス納付します?)とか。暇があったらまた読んで下さいな。
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間違いの指摘とか疑問とか、ご意見・ご感想とかありましたら、どうぞ感想欄に!
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2025.3.7 推敲と加筆。
2025.3.8 推敲と加筆。
2025.3.10 推敲と加筆。
2025.3.11 微推敲。
2025.3.14 推敲と加筆。グラフを更新。
2025.3.26 推敲。
2025.4.30 推敲とグラフ追加。