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-95- 落とし穴

 世の中は、そう甘くない。出世の裏には落とし穴が待ち構えているのです。ご用心を!^^

 とある商社に勤める黒崎は、勤続二十年目にして、ついに念願の営業部次長に昇格した。次長は艱難辛苦(かんなんしんく)の末に掴んだポストだった。むろん、次長ポストは営業部の第一課から第四課までの各課長が狙っていた。第二課長の黒崎は他の課長に比べ、発想が斬新で突出し、上層部の覚えもよかったのである。次長になった途端、他の課長の嫌がらせが始まった。

「…さぁ~? 私は知りませんが、次長」

「そうですか…」

 知っている用件でも、他の課長はシカトした。あなたは次長なんだから、それくらいは知ってるでしょう…という眼差しで見られ、黒崎は落とし穴だな…と深追いしなかった。だが、仕事がやりにくいことはこの上なく、黒崎を手古摺(てこず)らせた。

「よしっ!」

 黒崎は決意した。部下になった課長連中が落とし穴を仕掛けるなら、こちらはセフティーネットを張ってやろうじゃないかっ! と黒崎は開き直った。

 数日後、黒崎はシカトした課長を呼び出した。

「お訊ねした件は分かりました、どうも、ありがとう…。手助けしてもらえるなら部長と相談して、来年の異動で次長を、と思っとったんですがね。いゃ、結構です…」

 目には目で、黒崎は相手の弱点を突いたのである。それ以降、課長連中は黒崎を手古摺らせなくなった。いや、そればかりではない。黒崎に対しては低身低頭で、自分を売り込むことに余念がなくなったのである。黒崎は思った。 何ごともセフティーネットだな…と。

 出世にセフティーネットは欠かせません。本能寺のような落とし穴は嫌ですからね。^^


                   完

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