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-94- 核戦争

 大洋ホ-ルディングス本社では核戦争が勃発し始めていた。副社長のポストを巡っての辛辣(しんらつ)な戦いである。業務部第一課長の岩海苔(いわのり)が常務派に寝返ったことで専務派は俄かに色めき立っていた。

「なになにっ! 常務派が岩海苔を切り崩しただとっ!!」

 専務の宇津保(うつぼ)は苦虫を噛み(つぶ)したような顔で、派内の代表格である総務部長、昆布崎(こぶざき)(にら)みつけた。

「そんなこともあろうかと、ヤツに機密内容は伏せておきましたので、今のところ、こちらの情報は漏れていないと思われます…」

 昆布崎は低姿勢で弁明に努めた。

「専務、こちらにもいい知らせがありますっ! 常務派の珊瑚(さんご)を買収しましたっ!」

 したり顔で企画部長の荒潮(あらしお)が宇津保に報告した。常務派の珊瑚は営業部第二課長だった。

「おおっ! それは、よくやった。よしっ! 核弾頭を二、三発、食らわせてやれっ!! そうすれば、しぱらく常務派は動けまい。フフフ…」

 宇津保がニヤリと(わら)い、(あご)で荒潮に指図した。核弾頭とは常務の弱みを握った怪文書のバラ()きを意味していた。だが、常務の蛸山(たこやま)も黙ってはいなかった。

「そうか、荒潮が買収されたか…。よしっ! 核攻撃だっ!」

 蛸山は指を二本立て、常務派の代表格である営業部長、海老尾に指示した。二件の怪文書バラ撒きの指示である。こうして専務派と常務派の副社長ポストをかけた攻防は熾烈(しれつ)を極めていったのである。だが、これを契機として大洋ホ-ルディングスの業界トップの座は経営不振という放射能により崩れ始めたのだった。数年後、大洋ホ-ルディングスは業界から完全に姿を消していた。

 経営トップが核戦争を起こすかのように自身の出世に(こだわ)れば、その放射能により経営基盤は損なわれ、組織はやがては終焉(しゅうえん)を迎えることになります。このことは、国家を含む全ての組織のトップに言えますから、争いはやめましょう。^^


                   完

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