-9- 方法
出世が上手い人と下手な人の差について考えなくてもいいのに考えてみた。^^ すると、そこには何か方法のようなものがあるのではないか…という結論に至らなくてもいいのに至った訳です。^^
町役場の管財課に勤める尾川は出世ベタな男で、四十路を過ぎたというのに未だに平職員のままだった。同期の先海はすでに中間管理職の課長を拝命しているというのに出世の兆しさえ見えなかった。
「尾川さん、課長がお呼びです…」
気まずそうな小声で女性職員の岬塔子が告げた。課長の先海は異動後、尾川の処遇には困っていた。同期である以上、そう無碍な扱いも出来なかった。とはいえ、他の職員の手前、言うべきことは言わねばならないないし、不首尾はそれなりに叱咤しなければならなかった。
「ああ、尾川さん。他でもありませんが、先ほど依頼した件はいいですから…。他の職員の手前、ああは言いましたが…」
「はあ、そうですか。分かりました…。ところで、課長に一つ質問があるのですが…」
「何でしょう?」
「出世する方法とかは、あるんでしょうか?」
「えっ!? 出世する方法ですか? …まあ、あることはあるんでしょうが、私の場合はフツゥ~に勤めてきただけなんですが…」
「私もフツゥ~に勤めてきたんですが、未だにヒラです…」
「はあ…」
同期の職員にどう答えていいか分からず、先海は暈してスルーした。
出世する確定的な方法はないようで、本人の才覚次第という一面がチラホラ見受けられます。^^
完