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-83- ランク

 どの(あた)りのランクまで出世すれば良とするのか? が問題となる。もちろんそれは、本人の気持に(ゆだ)ねられる訳ですが…。^^

 とある町役場に勤める課長補佐の丸崎(まるざき)は、ようやく念願の課長に昇進する内示を受け、部長室を(あと)にした。表面上は普段と変わりなく振舞っているつもりでも、どこか気分がニヤけてくる。ダメだダメだ…と気持を引き締める丸崎だが、念願の課長に昇進できる気持は隠しようがなかった。

「どうか、されたんですか?」

 係長の角岩(かどいわ)(いぶか)しげに訊ねた。

「んっ!? いや、何でもない…」

 打ち消した丸崎だったが、座ったデスクで書類に目を通していると、いつの間にか顔がニヤけるのだった。

『さて、この先だが…』

 出世をランクとして考えた場合、まあ、ここまで昇進すればいいか…と考える人は少ない。丸崎はまだ中年だったから、ランクとしては二階級上の部長を目指すことは十分に可能だった。だが丸崎は、これでいい…と、出世の望みを抱かないことにした。さて、そうなると、仕事にも平常心で臨め、スンナリと諸事が進むものである。

 数年後、丸崎は思ってもみなかった次長昇進の内示を受けていた。上のランクを考えていなかった丸崎にとって、その内示は有り難かったが、どこか怖かった。自分がそんなランクまで…と疑心暗鬼に陥り、仕事が(はかど)らなくなった。

「あの…私、課長のままで結構です」

 部長室で内示を辞退する丸崎の姿があった。丸崎は課長が自分のランクの最高の到達地点と考えていたのである。

「ええ~~っ!!」

 部長はまるで違う生物を見るかのような目で丸崎を見つめた。

 出世するランクの到達点をどう考えるか? は、人それぞれですが、まあ、丸崎さんのような方は少ないはずです。しかし本人が満足なら、それが最良の到達点となる出世の最高ランクなのでしょう。^^


                   完

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