-65- シンプル
シンプル[単純]な生活を望む人は出世しない方がいいようです。シンプルな生活は気楽なんですね。^^
蒲田は余り出世したくないなぁ…と思いながら勤務する風変わりな男だった。フツゥ~の場合、上を目指して勤める人が大部分だからだ。
「蒲田さんは、のんびり過ごされるタイプですよね」
「はあ…私は頑張っても、どうせ出世できっこないんで…」
「そんなこたぁ~ないでしょ! ははは…」
上司の課長、鉾は、建て前で否定した。二人の間には、いつしか蒲鉾のフンワリしたような雰囲気が醸し出されていた。^^ 蒲田は本音を語り、鉾山は建て前で返したのである。
「ほう、お二方、話が弾んでますなぁ~」
二人の話に割って入ったのは、部長の竹輪である。
「あっ、部長!」「どうも…」
二人は同時に竹輪へ軽く会釈した。
「ちょっと聞こえてたんだが、出世話かな?」
「はあ、まあ…」
「出世しても必ずしもいい人生を送れるとは限らんぞ…」
竹輪が朴訥に告げた。
「ですか…」
鎌田が低姿勢で訊ねた。
「そうだよ。私を見なさい、私をっ! いつも助役にペコペコしてるだろ」
「はあ…」「はあ…」
「辛いぞっ!」
竹輪は、しみじみと本音を二人に聞かせた。
ということで、出世を考えず、シンプルに勤めた方が、楽でいい人生を送れるようです。^^
完




