-64- ライバル
出世にはライバルが付いて回る。そのライバルに負けまいとするから、出世争いは激化する。某大国の政治トップを決める選挙なんかが分かりやすい一例でしょう。^^
霞が関のとある中央官庁である。朝から何やら五月蠅い会話がとある室内から聞こえてくる。
『今の情勢では、ご器量がある豚口さんですが…』
『豚口君か…。彼は私と同期入省の中でも温厚だからなぁ~…』
『そう言われる牛川局長も安定感と懐の深さがあるじゃないですか…』
『ははは…そう煽てられちゃ少し照れるがね…』
『もうお一人、鳥岡さんがいらっしゃいました…』
『そうそう! 鳥岡さんなぁ~…』
『鳥岡さんは予算折衝でもそうでしたが、最後まで相手を追い込まれませんですから…』
『ああ、彼も30年来の同期だが、確かにそういうところがある。さしずめ、三国志か、ははは…』
『笑いごとじゃありませんよ。私としては何が何でも局長になって頂かないと…』
『ははは…君がそう言ってくれても、私が決める訳じゃないからね』
『はあまあ、それはそうですが…』
このように、出世にはライバルが付いて回るということになります。^^
完




