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-60- 夢気分

 生きていれば、誰もが出世する夢気分を抱くことだろう。これはサラリーマンに限らず、あらゆる職業の人々に言えることである。例えば、画家なら世界に名を馳せる一流画家に…、料理人なら超一流のシェフに…、職人なら誰もが(かな)わない一流の技術者に…と思う夢気分です。^^

 ここは一流舞踊家である家元の稽古場である。家元の老女が一番弟子を指導している。

「ダメダメ…。ったくっ! そうじゃないでしょ! こうでしょ!」

 家元はお手本を踊ってみせる。

「ちぃ~ちゃんっ! もう一度、お願いね…」

 テープ係のちぃ~ちゃんは今年、お弟子になった若い新米弟子である。ちぃ~ちゃんとすれば、私も稽古をつけて欲しいわ…くらいの夢気分だが、家元に、お願いね…と言われれば、従う他はない。

「先生っ! 初めからですかっ!?」

 初めからだとテープを巻き戻さねばならないからだ。

「そうね、そうしてくれる…」

 家元は品を作って、少し離れたところの座布団へ座る。一番弟子は、私もテープ回したいわ…とでもいうかのような夢気分で一番弟子に出世したことを恨めしく思いながらテ~プが流れるのを待つ。

 出世するより出世する夢気分を抱きながら働いている方が気楽でいいようですね。^^


                   完

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