-59- 目的
出世する目的の如何によって、その存続が長続きするか、あるいは短いかが決まる。要するに、へっへっへっ…と思うような欲得づくの下心が有るか無いか、ということになります。^^
活花はついに政界のトップへ躍り出ることになった。長年の、ぅぅぅ…と思える辛抱と労苦が報われるときがやって来たのである。
「先生っ! や、やりましたねっ!!」
「ぅぅぅ…き、君達のお蔭だ。よ、よく私を支えてくれたなっ!」
公設第一秘書の剣山の両手をシッカと握りしめ、立花は涙に咽んだ。
「そ、そんな…。せ、先生の力あってのことですっ! ぅぅぅ…」
「あ、有難う、ぅぅぅ…」
二人は悲恋ドラマに打たれたように大泣きに泣いた。すぐ近くでは第二秘書が、そこまで…と、態々(わざわざ)しさを煙たがるかのように下を向いている。第二秘書は立花の出世の目的を知っていたのである。これで、一流料亭のアノ料理を誰に気兼ねなく存分に食べられる…という目的を。^^
一年後、立花は誰に気兼ねなく食べられるアノ料理を食べられなった。失脚したのではない。店が閉じられたからである。さあ、大変! 出世の目的を失っ立花は俄かにやる気を失い、内閣支持率は急落した。そうなれば、どうなるか? は政界のことだから決まっている。失脚ではないものの、トップの座から去ることになったのである。
出世の目的は気高い方が長続きするようですね。^^
完




