-52- 反省
出世しても奢るばかりで反省がないと、たちまち夢のまた夢と奈落の底へと落ちていくことになる。…奈落を調べますと、舞台劇で地下から舞台に上がり降りする装置だということです。と、いうことは、地獄へ落っこちるということですかね。^^
とある町の定食屋である。中小零細企業に勤める二人が、納豆定食を食べ終えて語り合っている。
「熊尾さんっ! 首尾よくいきましたねっ!!」
「だろっ!? 俺が言ったとおりになったじゃないか、ははは…」
部下の係長、鮭川に揉み手で煽てられ、課長の熊尾はしたり顔で手にした楊枝で歯をシーハーと穿った。ところが、である。その二日後、事態は急変した。熊尾と鮭川が安心しきった油断から、ようやく取れた新規契約がご破算になったのである。
二日後の、とある定食屋である。ショボくなった熊尾と鮭川が食後、ローテンションで語り合っている。
「何がダメだったんですかね…」
「詰めが甘かったんだろうな…」
「次回からは、詰めを大事にします…」
「ああ、そうしてくれ…」
二人は、しみじみと反省した。
一ヶ月が経過したある日のことである。二人は反省をもとに新規契約、それも大型の契約だったのだが、その詰めを怠らなかった。結果は上々の首尾で、二人は一階級昇格して熊尾は副部長補佐に、鮭川は課長代理心得に出世したのである。^^
まあ、大した出世ではないようにも思えるのですが、失敗後の反省は大事だということでしょうか。失敗は成功のもと・・と言いますからね。^^
完




