出世ユーモア短編集

－５－ 種類

　出世にもいろいろ種類があるのを皆さん、ご存じですか？＾＾　チョ～ど派手な出世から、それが出世かいっ？　と誰もが疑うようなチョ～地味な出世まで各種ある訳です。ということで、今回はそんなお話です。

　菰川(こもかわ)は出世を夢見て、ひたすら頑張っていた。頑張ったところで出世出来るという保証はないのに、である。菰川は素敵な出世を目標に頑張っていた。菰川が思い描く素敵な出世とは人が思う出世とは少し色彩が違った。種類としては誰も思いつかない影の出世である。影の出世とは表向きには誰もが出世したな…とは思えない種類の出世である。言わば、出世とは一線を画すスタッフ的な出世である。世間的には決して評価されたり脚光を浴びない種類の出世ではあるが、その出世なくしては世の中が先に進まないチョ～大型の出世だった。

「急に景気がよくなったな…」

「だなっ！　なぜだ？」

「オレに訊かれても分かるかよ…」

「それも、そうだな…」

　二人の男が首を捻りながら、急激な市場の活況を訝(いぶか)っている。金融危機はいつしか去り、日本はふたたび世界を席巻する経済大国への道を歩もうとしていた。その陰に、菰川の暗躍があったことを誰も知らない。

「フフフ…」

　二人の男の話を小耳に挟みながら、菰川はニンマリと哂(わら)った。菰川が目指していた種類の出世が実現したのである。＾＾

　菰川さんのような種類の影の出世をしてみたいものです。＾＾

　　　　　　　　　　　　　　　　　　完