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-49- 障害
出世する上で障害となったお話です。
ようやく取引先との大契約締結に漕ぎつけた鳥山は、すっかり疲れ果てていた。
「ごくろうさん。鳥山君、大丈夫かね? 顔色が悪いが…」
営業部長の巣上は鳥山の顔色を心配しながら、労った。
「ははは…大丈夫ですよ部長、このくらい…」
口ではそう言った鳥山だったが、すでにこのとき、過労が高じて病魔に侵されていたのである。
「これで競合するGO産業を追い抜いて、我が社は業界トップに躍り出た。ひと月後の君は課長昇進は確定だよ、ははは…」
「そうでしょうか?」
満更でもない顔で鳥山は呟いた。
「ああ、間違いないっ! 私が保証するよっ!」
巣上が断言したとおり、ひと月後、鳥山は課長に昇進した。だが、彼はすでにこのとき病院へ入院していたのである。その結果、鳥山の課長昇進は見送られ、檜が課長ポストに就いた。
出世は無理をし過ぎて身体を損ねないのが条件になるようです。^^
完




