-35- 夢と現実
こうなって欲しい…という軽い気持ちでお読み下さい。^^
本橋は夢を見た。
『専務、社長ご就任おめでとうございますっ!』
『ああ、鴫上君かっ! ありがとう…。君も部長になったらしいな』
『はあ、お蔭様で…。専務派の連中は皆、昇進しましたっ!』
『ははは…専務派か。私はそんな派を作ったつもりはなかったんだがね。すべては君達が努力した結果だよ…』
『何をおっしゃいます。専務のご指導あっての賜物ですっ! ぅぅぅ…』
『馬鹿だな、泣くやつがあるか…』
本橋は夢の中で、笑いながら軽く鴫上の肩を叩いた。そのとき、突然、衝撃が走った。
「専務っ! もう閉店です。帰りましょ!」
酒のせいか、本橋はいつの間にか店の片隅で眠っていたのだ。起こしたのは課長の鴫上だった。起こされた本橋は一瞬、夢だったか…と、残念な現実に戻された気がした。その後、二人は勘定を済ませて店を出た。外はようやく暑気が去り、少し冷え気味だったが、残った酔いが気持ちよかった。二人は漫ろ歩きながら駅へと向かった。
「鴫上君も課長になって三年目だったな…」
「なに言ってんですかっ! 僕は昨日、部長になったって言ったじゃないですかっ!」
「ええ~~っ!! 嘘だろっ! 君は課長で…」
「専務は社長にご就任されたじゃないですかっ! ははは…嫌だなっ!」
夢は正夢だったのである。多少はデフォルメされ盛られてはいたが、夢での出世は現実だったのである。
夢で見た出世が現実になって欲しいですよね。^^
完




