-34- トーンダウン
出世をすれば、自ずとそれまでの主張や施策をトーンダウンする破目に陥る。逆に言えば、自分の思いの丈を曲げたくないなら、ザックバランに公表すればいい訳である。出世していない小物に誰も批判はしないでしょうし、批判されたとしても小さく報じられるくらいで、そう大したことにはなりません。^^
とある政治家はかなりの要職についたものだから、悩んでいた。それまで、テレビ番組出演などで展開していた自論を大きくトーンダウンしなければならなくなったのである。党の圧力という大きな壁がその政治家の主張を曲げさせたのである。
予算委員会の一場面である。
「えぇ~~で、ありますから、私が申しあげた内容は、飽くまでも私の希望でありまして、必ずしも私がそうするとは申してはおりません。飽くまでも、希望であります…」
〇〇大臣が答弁を終えたその瞬間、スッ! と質問する豚園議員の手が上がった。
「豚園君…」
委員長が小声を出した。
「希望、希望って、希望で政治が動けば誰も苦労はしませんよっ! 私は、現実問題としてあなたがテレビで発言されていた内容でやって頂ききたいのです。どうですかっ!」
「〇〇大臣…」
委員長の声は眠そうな声になった。
「そうなるよう、私も善処し、出来得る限り対処したいと存じます…」
「委員長っ!!」
こうして結論が出ない予算委員会の質疑は長時間、続いていった。
出世することで自分の主張をトーンダウンしなければならないのなら、出世するのも考えものですね。^^
完




