29/100
-29- 印象
人には他人に受ける印象というものがある。その印象は一人一人違い、どうもアイツとは馬が合わんな…と思われたり、ははは…アレはいいヤツだから好感が持てる…と言われたり、様々な変化を見せる。その一人一人が持つ印象が、積もり積もって出世に大きく影響を及ぼしているようです。最近の政治も同じですね。^^
とある中堅企業に勤める熊尾は営業の鮭取り名人と揶揄される辣腕で多くの契約を取り、会社の純利益向上に貢献していた。ただ、その取得は手段を択ばず・・という遣り口で、上層部の印象は悪く、警戒感を抱かせていた。それは表面的な昇格人事にも現れ、実績とは関係なく据え置かれたのである。熊尾が上層部に与えた印象は覆ることなく、彼は契約名人と社内から呼ばれるに留まり、定年を迎えたのである。
「やるだけはやった…。この会社ともさらば、か、うぅぅ…」
会社を去る熊尾の目に涙が光った。
熊尾さん、まあ、それでも猟銃で撃ち殺されなかった[無事、退社できた]だけで、よかったじゃないですか。^^
完




