-28- 執念(しゅうねん)
なにがなんでも出世してやるんだっ! という一途な執念は出世を可能にする。ただ出世するぞ…と思う程度ではダメなんですね。^^
町役場のとある課に勤務する袋田は、なにがなんでも出世してやるんだっ! と意気込んでいた。実力はフツゥ~の職員に毛が生えた程度だったが、世渡りの才能はズバ抜けており、他職員の追随を許さずダントツ[断然トップ]った。上役を伴う飲み会は得意中の得意で、上役達を上手く持て成し、印象を高めていった。
「そういうことですので、まあ一つ、宜しくお願い致します…」
そう頼み込みながら袋田は畑岡にガラス銚子の冷酒を勧めた。
「ははは…そうか。まあ考えておこう」
数か月後の早春、内示があり、袋田は係長から管理職の課長補佐へと昇格した。
『次は上洛だな…』
などと織田信長公のように袋田は思わなかったが、^^
『次は課長だな…』
という執念の炎がメラメラと心で燃やした。その炎は上司に引火した。執念の炎はメラメラと心で燃え、その炎は上司に引火した。
二年後、袋田は町役場では最年少の課長に昇格したのである。
『次は朝倉だな…』
などと織田信長公のように袋田は思わなかったが、^^
『次は次長だな…』
という執念の炎はメラメラと心で燃やした。その炎は上司に引火した。
五年後、袋田は町役場では最年少の次長に昇格したのである。
『次は天下統一だな…』
などと織田信長公のように袋田は思わなかったが、^^
『次は部長だな…』
という執念の炎はメラメラと心で燃やした。その炎は上司に引火した。
七年後、袋田は町役場では最年少の部長に昇格したのだった。
執念で勝ち取った部長のポストですが、袋田さんがその後どうなっていったかについては、個人情報の流出を防ぐために敢えて語らないことにしたいと思います。^^ 日本史通りになるとは限りませんので、そこは皆さんのご想像にお任せ致します。^^
完




