表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/100

-21- 欲

 人には多かれ少なかれ、誰にも欲がある。出世の場合は出世欲という醜い欲があり、能力があればそれはそれで意欲旺盛で結構な話だが、能力もないのに欲だけで出世したがる厄介な人々がいる訳だ。僭越(せんえつ)ながら、自身に全うする能力があるのか? と、自問自答して戴きたいと存じます。能力もない人に出世されては、その配下の人々が迷惑して困るからです。^^

 とある町役場に勤務する係長の乙山(おとやま)は、何が何でも出世したい…と思っていた。課長補佐を目指すこの段階では、本人自身にも単なる出世欲なのか? 意欲なのか? は、分からなかった。乙山には同期入庁の甲崎(こうざき)がいた。彼は同じ課の課長補佐として辣腕(らつわん)を振るっていた。甲崎には能力があったのである。同期だけに甲崎に指示されるのは乙山にとって面白くない。課長補佐は管理職であり、係長は平職員に毛が生えた程度で、大きな差があったのである。管理職に出世できるか出来ないかという係長⇔課長補佐に横たわる分水嶺は、まさに今、乙山に険しく迫っていたのである。

「乙山さん、課長がお呼びです…」

「はい…」

 女性職員の百合川(ゆりかわ)が乙山に告げた。乙山は課長席へ向かった。

「ああ、乙山君。君に内示が出た。おめでとう! 管財課の課長補佐だ」

「あ、有難うございますっ! ぅぅぅ…」

「泣くこたぁ~なかろう、ははは…」

 乙山は平職員に毛が生えた地位から、晴れて管理職への分水嶺を超えたのだった。そのとき、乙山は欲ではなく、単に管理職になりたかった自分に気づいた。

 欲、意欲まあ、(いず)れにせよ、お目出度とうございます、乙山さん!^^


                   完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ