-18- 双六(すごろく)
双六という子供の遊びがあるが、出世もそれに似かよった人生ゲームと言えるだろう。出世したのはいいけれど、それが原因で振り出しへもどる・・ということもある訳です。^^
とある市役所の課長、桃川は、流されなくてもいいのにドンブラコ、ドンブラコと出世の柵に流されていた。^^ 言っておきますが、桃川は決して桃太郎さんではありません。^^
「いよいよ明日は異動の内示ですね…」
部下の係長、栗山がそれとなく訊ねた。
「ああ、そうだね…」
暈しながら返した桃川は出世候補の一人で、次期副部長の呼び声が高まっていた。桃川は、ふと、子供の頃に遊んだ双六を思い出した。
『出世も双六だな…』
そう思えた桃川は、急に出世することに嫌気がさした。
「工事入札の談合の一件で建設部長、チョン! でしたからね…」
「そうだったね…」
『ははは…振り出し以下へもどるんじゃ、堪らんからな…』
「昇進されれば、私も宜しくお願いします…」
ニヤけた顔で柱が桃川に胡麻を擂った。
「ああ、そうなればね…」
桃川は、出世なんかどうでもいいや…と思いながら、無難な返事を栗山にした。
よく考えれば、確かに出世は双六そのものなんですね。^^
完




