-16- 家系
出世に大きく影響を与えるのが家計である。だが、この家系だけは、生まれ持ったる星の下・・と言われるように、変えられないから、どぉ~~しようもない。^^ お諦め下さい、と結論づけるのは早計ですが、よほどの才と幸運に恵まれない限り、出世は、かなり難しいようです。^^
鰐尾の才覚は他に比べる者がないほど、ずば抜けていた。だが彼は家系に恵まれず、山奥の片田舎の末子として生まれたのである。しかし、彼はそんな境遇にもめげず頑張った。才は誰も止められず、鰐尾は中学を卒業した頃、すでに大学院の博士課程を終えるほどの知識を得ていた。この事実を担任は放置する訳にはいかず、彼は教員室の別室に呼び出された。
「鰐尾君のお父さんは大工さんだったね?」
「はい…」
鰐尾は小声で呟くように答えた。だが、真実は異なり、彼は産院のミスで別の赤ん坊と間違えられて育ったのである。本当の家系は優れた人物を輩出し、鰐尾の実父は最高裁判所の裁判官だった。母も国会議員のキャリアウーマンとして活躍していたのである。実の兄は航空会社のパイロットで実の姉は教授だった。そんな真実が隠されていたことを、当の鰐尾はまったく知らなかった。彼ばかりでなく両親さえも知らず、なぜ自分達の家系からこんな利口な息子が生まれたのか? 常々、疑問に思う日々を過ごしていたのである。
十数年が経ったとき、優秀な家系の鰐尾は中央官庁の制服組幹部職員として活躍していたのである。
優れた家系は不遇にうち勝ち、出世への道を可開くようです。家系に恵まれなければ、どぉ~しようもないですから、当局は一切、関知しませんが、諦めず頑張って下さい。^^
完




