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-100- 餌(えさ)
出世を餌にする経営者はそう長く高い地位に君臨することは出来ず、自ら墓穴を掘ることになる。当然といえば当然k話なんですが…。^^
とある料亭で、社内人事の切り崩し工作が行われていた。
「そうか…よしっ! ここは一つ、部長を餌に、釣るしかないな…」
「それがいいようで…。彼は金では釣れませんから…」
「そうだな…では、そのように…」
「畏まりました…」
専務の腰巾着である総務部長、田所は平岩専務に軽く頭を下げた。その頃、別のとある料亭でも同じような切り崩し工作の一席が設けられていた。
「専務派は強かですからな。常務がおっしゃった通りと思われます…」
「そうだろ? 人事には人事部の切り崩しが手っ取り早い…」
川西常務は腰巾着の営業部長、保崎の杯に酒を注ぎながらニヒルに嗤った。
「では、そのように…」
かくして二派による人事合戦は、白熱の度合いを増していくのだった。
出世の餌は、種類が豊富なんですね。^^
完




