初めての戦闘1
この最初の町ではイベントらしいイベントは用意していない。町周辺で地道にレベル上げをして、近くにあるガルフ城で王様に会うというところから物語は始まっていくようにこのゲームは作られている。
「準備はいいか」
俺たちは町の出口まで来ていた。
「いよいよ戦闘っスね」
アイはいきり立っている。いまにも走り出しそうな勢いだ。
「町の外出るの初めて」
メリルも少し興奮しているようにみえる。
俺も力が入る。
「よし。行くぞ!」
町の外は見渡す限り草原が広がっていた。敵が出ればすぐに発見出来そうだがそれは向こうも同じことだ。
城はここからは見えないが、たしか東の方角だったな。本来は町の住人に話を聞いて情報を集めるところだが、このゲーム内の情報は頭に入っているから無駄な会話はスルーだ。
しばらく東に進んでいると、青色の物体を踏みつけて滑りそうになる。
「うおっ!?」
足の下にグニョグニョした物が。なんか気色悪いぞ。
「勇者さまが変なの踏んだっスー」
アイがケラケラと笑う。こいつ本当に神官か?
すると状況を傍観していたメリルがボソッと呟いた。
「それ、スライムだと思う」
それを聞いて俺が足元を確認すると――青色のスライムと目が合った。