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VS魔王

例のごとく道にも迷わず、トラップにもかからず、魔物にも遭遇せずただ長い道のりをひたすら歩く。暗いダンジョンの中でもメリルの魔法、エンライトの効果であたりは昼のように明るい。

この緊張感のなさ、まるでラスボスまでの道とは思えないな。やはりゲームバランス崩壊してるな。


二十分ほどダンジョン内を歩いたところで大きな扉の前に出る。


「この先に魔王がいるぞ。気を引き締めてかかれよ」

と勇者らしいことを言ってみたが、こっちはレベル99。正直楽勝だ。魔王は初めは人型で、一度負けると真の姿に変身してくる。


「わかったっス!」

「うん」


「わたしは戦闘には参加できないけど頑張ってください!」


とセゾンが言う。こいつパーティーに入れる意味あったかな、などと考えていると――


ギイイィ。扉の開く音。

アイが勝手に扉を開けていた。

さすがにそれは勇者の役目だろ……。


「……っておい、アイもメリルも勝手に入るな!」


『やはり来たか勇者よ』


としゃがれた声でアイに話しかける魔王。こらどこ見てるんだ魔王。勇者は俺だぞ。


「いざ勝負っス!」

「最終決戦」

「みなさん頑張ってくださいね」


『かかって来い! 勇者どもっ!』


ああもう、俺抜きで皆好き勝手やってる。


「いくぞ魔王っ」


俺は左足で地面を蹴ると、音の速さで魔王に斬りかかる。


シュバッ!!


魔王の首が飛ぶ。

俺はあっさりと第一形態の魔王を倒した。


「勇者さますごいっス!」


アイは言うが手ごたえはまるでない。


「……あっ」


メリルが声を上げる。魔王が起き上がりブルブルと震えだした。

角が生え、尻尾が伸び、羽が広がっていく。顔のあった部分に怪物のそれが再生していく。どんどんと最終形態に変身していく様を俺たちは固唾をのんで見守る……っておいアイ!?


「うおりゃああっス!」


アイが魔王の変身を待たずに殴りかかろうとした。


「バカちょっと待てアイっ!」


俺はとっさにアイを後ろから羽交い絞めにする。


「何するんスか勇者さま! 今がチャンスっすよ!」


「そうなんだけどいいから待てっ」


俺の腕を振りほどこうとするアイ。こいつめちゃくちゃ力強いな。くっ、ほどけそうだ。

とそこへ、


『……待たせたな。これが我の真の姿だ。今度はこっちからいくぞ』


変身を終えた魔王が先手を取って攻撃してきた。狙いは……メリルだ。

魔王はメリルの目の前に来ると熊より二回りは大きい手を振り下ろす。


「メリルっ」


砂埃がまっていてよく見えない。メリルは無事か?

すると何か聞こえた。


「……イムショット!」


魔王は灼熱の炎で燃え上がる。後ずさりする魔王。だが、炎はたちまち消えてしまう。

あっそういえば魔王には全属性への耐性つけてたんだっけ、といまさらながら思い出す。

あれ? これ意外とやばかったりするのかな? なんて思っていると魔王が魔法を唱えてきた。


『ダークマタレイザー!』


俺に向かって黒い光線が放たれた。速――。

盾での防御が間に合わずまともに攻撃をくらってしまう。

うわああぁぁっ…………ってダメージゲージを見ると2しか減ってない。ああやっぱりレベル上げすぎてたか。


俺は剣を振り上げると魔王に叩きつけた。


ガンッという鈍い音がして魔王はそのまま大の字に後ろに倒れた。


「あたしたち勝ったんスか?」


「ああ勝ったよ」


「……これでゲームクリア?」


「ああ」


俺たちは魔王を倒した。

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