武術会2
俺たちは二回戦、三回戦と順調に勝ち進んだ。やりすぎないようにあえて武器を外して素手で戦うことにしたのだが、俺の攻撃はおろか神官のアイや魔法使いのメリルのパンチでさえ一撃で相手は失神してしまう。どうやら調子に乗ってレベルを上げすぎたようだ。
俺たちは一躍優勝候補の仲間入りを果たした。
準決勝の相手は全員が最高級の武器、防具を装備した金持ちパーティーだった。
「準決勝、始めっ!」
「あんたたちの戦いは見させてもらったぜ。どうせ裏取引でもして勝ち上がってきたんだろ、きたねェ奴らだ。でもなオレたちに小細工は通用しないぜ。それにほらっ」
と言って自分たちの着ている鎧を指差してみせる。
「これは魔法耐性のある特注品の鎧だ。魔法は一切効かないぜ」
「ほっほっほ。わたしたちのお金の力の前ではあなたたちなんて無力よ」
メリルは俺の横で「あれ売ったらいくらになるだろう」とか呟いている。
「勇者さまもうやっちゃっていいっスかね」
待ちくたびれたアイが言う。
「好きにし」
ろと俺が言い終わるのを待たずにアイが駆け出す。一瞬で女冒険者の前に立つとデコピンをくらわす。女冒険者は後ろに吹っ飛んで気絶した。
「な、なんだ!?」
アイは状況が全く把握出来ていない他の二人の男たちの腕を掴むと、両方を引き寄せ頭と頭をぶつけさせた。ゴチンという音がして二人ともその場に倒れた。
「そこまでっ! 勝者、チームカイト!」
俺たちは決勝へと駒を進めた。




