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ピーニャの町

ヌワロの村の人たちに教えてもらった通り、山を越えて西に行くとピーニャの町に着いた。たいまのほうぎょくのおかげで、魔物と出会うことなくすんなりと来ることが出来たが、これではレベルも上げられない。レベル17のままだ。


「メリル、ワープホールで最初の町に連れて行ってくれないか」


ワープホールは一度訪れたことのある町なら瞬間移動出来る魔法だ。今まで使う機会がなかったがかなり有用な魔法だ。


「勇者さま、なんで最初の町に戻っちゃうんスか?」


「たいまのほうぎょくを預り所に預けとこうと思ってな」


ピーニャの町には預り所がないからな。


「別にいいけど」


そう言うとメリルはワープホールを唱えた。すると、黒い楕円形の穴が現れ人が通れるほどの大きさになった。歩いて中に入ると次の瞬間には最初の町に到着していた。


「便利な魔法っスね。メリルちゃんすごいっス」


アイがメリルの手を取って飛び跳ねる。

褒められてまんざらでもなさそうなメリル。

俺たちはたいまのほうぎょくを預り所に預けてからまたワープホールに入ってピーニャの町へと戻った。

ピーニャの町には橋が架かっていて姉妹都市であるアウンゼンと海をまたいで繋がっている。しかしアウンゼンには住民以外はレベルが20以上ないと入ることが許されていない。だからこそアウンゼンには強者たちが集まっている。


格闘都市アウンゼンと並んで旅の冒険者たちが集まる町、ここピーニャ。

なぜ冒険者たちが集まるのかというとそれは、この町付近に出現する魔物に秘密がある。

シルバースライム。出会っても百回に九十九回は逃げてしまうが、倒したら一匹で経験値7500という超ラッキーな魔物である。俺が設定した魔物の中で一番経験値が高く、それでいてHPは6とスライムと変わらない。そんな魔物がこの付近には多く出没するのだ。


「すぐ逃げちゃうのにどうやって倒すんスか?」


無邪気な顔で聞いてくる。今こそアイにも説明するときだな。


「いいかアイ。ここは俺が作ったゲームの世界なんだ。それでだな…………」


俺はアイにもわかるように懇切丁寧にかみくだいて話した。


「…………というわけなんだ。その時に手に入れたのがこのかげぬいのくびかざりだ」


服の中からかげぬいのくびかざりを手に取って見せる。


「よくわかんないっスけど、あたしたちは今までと変わらず旅をして魔王を退治すればいいんスよね」


「まぁそうだな」


「で、そのかげぬい? のくびかざりがあれば魔物は逃げられないんスね」


「そういうことだ」


「アイ。そのアイテムがあればシルバースライムを狩り放題ってこと」


「わかったっス!」

アイは満面の笑みでうなづいた。ホントにわかってるのかこいつ。

この世界が俺の作ったゲームだとアイがどこまで理解してくれたかはわからないが、伝えるべきことを伝えられてすっきりしたというのが本音だ。

俺は経験のリングを装備して。


「さぁここからはシルバースライム狩りだ!」

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