大海原へ
人間の姿に化けていた魔物の正体はまかいのヴィーナスだった。まかいのヴィーナスは攻撃魔法ダークアローを放った。黒い炎の矢の先端が三本に分裂したかと思うとそれぞれが俺たちに襲い掛かってくる。俺はそれをなんとか盾でガードしたが、アイとメリルは直撃してしまった。大ダメージを受けてしまう。
「ハイキュア!」
アイはレベル14で習得した中級の回復魔法をメリルにかける。メリルはかいふくのつえでアイの体力を回復させる。
ダークアローは一回の戦闘中一度しか使えない。二発目がないことはわかっている俺は、まかいのヴィーナスに飛び掛かり剣を振り下ろす。会心の一撃が当たり85のダメージを与えた。まかいのヴィーナスの反撃。長い爪で連続攻撃してくる。俺は盾でガードしようとするが、相手の攻撃が速くて防ぎきれない。胸を切り裂かれ血が噴き出す。
「くっ!」
俺は後ろに退いた。
「ハイキュア!」
アイがすぐさま回復してくれる。そしてメリルがレベル15でおぼえたばかりの攻撃魔法を唱えた。
「アイスショット!」
無数の氷のつぶてがまかいのヴィーナスめがけて飛んでいく。55のダメージを与えた。さらにまかいのヴィーナスを凍らせた。アイスショットは運が良ければ追加効果で相手を凍らせて行動不能にすることが出来る使い勝手のいい技だ。
俺の回復を終えたアイがムチを手に、まかいのヴィーナスに攻撃を仕掛ける。続けざまに俺も攻撃を繰り出す。合計120のダメージをくらわせた。
「アイスショット!」
メリルが連発する。動き出したまかいのヴィーナスに攻撃の隙を与えない。この後も上手く策がはまり、
「これで終わりっス!」
最後はアイの一撃が炸裂し、
「うぅ……ゴルカルロさ……ま…………」
という言葉を残しまかいのヴィーナスは消滅した。俺たちは2500の経験値と2000マルクを手に入れた。俺たちはレベルが上がった。メリルは移動魔法ワープホールをおぼえた。これで行ったことのある町なら一瞬で行けるぞ。
「あれ? わしは何を……」
その後正気に戻った会長と乗組員たちとの話し合いの場が設けられ、会長が謝罪しストライキは終結した。
――翌日。ドックにて。
「ホントにタダでいいの? 後で払えとか言わない?」
メリルが何度も念を押す。
「ああ、もちろんだとも」
会長は操られていた時の記憶が少しは残っているようで俺たちとの約束も覚えていてくれた。
乗組員の人たちと一緒に俺たちも船に乗り込む。
ドックから船が出る。
「会長さんいろいろありがとうっス! 楽しかったっス!」
アイが大きく手を振る。
「また来たい」
「そうだな。また来ような」
俺たちは大海原へと旅立った。




