ミナットの町
多くの行商人で活気づく町、ミナット。この町には大きな船が停泊している。その船で別の大陸に移動することが出来るのだ。
ウミネコの鳴き声と顔に当たる潮風がなんとも心地いい。
「はぁー、気持ちいい風っスねーメリルちゃん」
「うん。私この町好き」
「さて、さっそく買い物に行くか」
この町の武器屋と防具屋には用はない。なぜなら町のあちこちにいる行商人の方がいい物を取り扱っているからだ。
俺たちは宿屋にいた行商人から商品を見せてもらった。所持金は4210マルクあるので金にいとめはつけず現時点での最強装備を揃えたいところだ。まずアイがこうてつのムチを手に取る。
「これなんかどうっスか。これならあたしも戦闘で少しは役に立てそうっス」
ただの能天気な奴だと認識していたがアイもアイなりに思うところがあるらしい。
「私はこれにする」
メリルがかいふくのつえを握ってアイにみせる。この武器は戦闘中に使うと仲間の体力を少しだけ回復できるというおまけつきだ。
俺が言わなくても二人とも最高の武器を選んでいる。
俺はというと――
「いやぁ、こんな場所しか残ってなくてね。でも物はどこにも負けない物を揃えているよ。さぁどんどん買っていっておくれ」
井戸の脇に追いやられていた行商人の前に立った。
初プレイでは見逃してしまいそうな町の奥の奥。入り組んだ通路の先にその行商人はいた。
「こんなところよく気付いたっスね、勇者さま」
「まあ勇者の勘ってやつだな」
適当に流す。
「それよりここで二人の防具と俺の装備品を買うぞ」
アイとメリルにはせいじゃのはごろもを。俺はこうてつのつるぎとこうてつのよろいとこうてつのたてという鋼鉄三点セットを買った。おかげで所持金は10マルクになってしまった。
これじゃ宿屋にも泊まれないな。
「さっそく戦ってみたいっス!」
「お金貯める」
俺は二人の意見を取り入れてしばらくミナットの町周辺でレベル上げをすることに決めた。




