文学少女
昼休みー俺は冬香と一緒にお昼を食べた後、一人で図書室を訪れていた。
借りていた本を返したかったのと、とある女の子に例の件を相談する為だ。
俺の通っている中学校の図書室は、他の学校に比べて広い。
手に本を持ちながら、その女の子を探す為に広い図書室をキョロキョロしているとー
「なにキョロキョロしてるんですか」
「うわっ!」
隣から突然声を掛けられた。ビックリした……。
俺に声を掛けてきてくれたのは、丁度俺が探していた女の子だった。
綺麗な黒髪をお下げ髪にしたこの女の子、川端明日香。図書委員をしている。
図書委員という事で、普段は図書室に居る彼女。図書室に行けば会う事が出来ると思ったが、案の定昼休みも図書室に居てくれたようだ。
「見るからに不審者ですよ」
不審げに俺を見る明日香。俺は慌てて
「いや、本を返そうかなと」
「返却カウンターなら反対にあります」
「……本当は明日香に会いたくて」
すると、明日香は胡散臭いモノでも見るかのように毒を吐いた。
「何ですかそれは。もしかして口説いてるんですか?だとしたら少し気持ち悪いんですけど」
「そんなにキツク言わなくても……」
この通り、明日香はその大人しそうな見た目とは裏腹に、毒を吐く結構キツイ女の子なのだ。
だがこんな所でめげてはいけない。
「それで、私にどんな用なんです?」
「そうそう。明日香に相談したい事があって」
「相談ですか?」
「うん。実は彼女をどうしたら作れるか相談したくて」
その瞬間、空気が凍ったー
明日香は溜息を吐きながら、下等生物でも見るかのような目で俺を見ると
「はあ……東雲くんの事だから下らない相談だとは思いましたが……予想以上に下らなくてドン引きしています」
「……」
俺の本気の相談を下らなと断じた明日香。確かに内容は下らないかもしれないけどさ……
明日香の毒舌は、まだまだ止まらない。
「わざわざ女の子に相談しに来るから何かと思えば、彼女の作り方を相談されるとは……そんなだから東雲くんは童貞なんですよ」
可愛い顔をして、人を童貞呼ばわりする明日香。
「明日香だって処女だろ……?」
「女の子に処女かどうか聞くなんて気持ち悪いです。それに処女と童貞では価値が違うんですよ」
「……ごめんなさい」
「用がないなら失礼します」
そう言ってスタスタと何処かに消えてしまう明日香。俺はそれをただ見ているだけしか出来ない。
……冬香より断然ドSではないか。
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