クーデレ
「「彼女を作る」という決意をしたものの……どうすればいいと思う?」
「ふーん……死ね」
「……」
中学二年生の俺ー東雲優斗は、あの決意の次の日を迎えていた。
「彼女を作る」と決意したのはいいものの、生まれてこの方非リア充の俺には、どうすれば彼女が出来るのかなんて分からない。
それなら、女の子の意見を聞いてみようと思い、俺の数少ない女の子の友達に尋ねたのだが……「死ね」と一刀両断されてしまった。
この、人が尋ねた質問に「死ね」と返答する一風変わった女の子は、俺の友達の東条冬香だ。
綺麗な肩までの黒髪にカチューシャを身に着けた、本当に可愛い女の子なのだが……見ての通り性格に難がありすぎて、彼氏居ない歴が年齢の可哀そうな女の子なのである。
冬香とは小学生の頃からの仲で、非リア充の仲間でもある。
さて、俺と同じくらい悲しいプロフィールを紹介していると、冬香は明らかに不機嫌な顔になる。
長い間友達しているからか、冬香の不機嫌顔は大体分かる。
しかも冬香の細い足で俺をゲシゲシと蹴ってくるではないか。
「冬香止めて!痛いから!」
「今私に凄く失礼な事考えてたでしょ」
「か……考えてないって」
「……ダウト」
冬香は読心術でも会得しているのだろうか。完全にバレている。
というか、俺の足を蹴りながら満面の笑みになるの、止めて欲しいんですけど。可愛いんだけどね。
ちなみに冬香はその性格から「ドSの冬香たん」と特殊な趣味の一部の男の間で人気だったりする。
余りにも冬香が嬉しそうに俺を蹴るもんだからー
「……さすがはドSの冬香たん」
「!?」
少しイジワルをしてみた。
するとどうだ。冬香の顔がみるみる怒りに変化していく。冗談の怒りではない、マジの怒りだ。
そう、この通り冬香はこの男からのあだ名をとても嫌っている。
それで冬香を煽った日にはもう……マジ怒りの冬香が何をしてくるのか。
冬香はその細い足に、最大限の力を込めー
俺の金的を蹴り上げた。
言葉にならない悲鳴を上げ、悶絶する俺。それを見てスッキリ顔の冬香。
傍から見たら、変わったやり取りかもしれないが、これが俺と冬香なりの普通だ。
まあさすがに金的蹴りはなかなかないけどね。
結局、彼女の作り方は聞けなかったが、焦る事はないし、よしとしよう。
そうこうしている内に、始業を知らせるチャイムが鳴る。俺の学校生活はまだ始まったばかりだー
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