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第4話

死んだ。確実にそう感じたね。だってそこまで痛みを感じなかったのだから、身体が大変なことになっている結果だろうと、容易に想像がつく。かなり最悪な出来事だけど、気持ちは最高だ。

俺の体で、粒子破壊砲は止まったらしく、後ろのみんなには被害が出ていなかった。

 



 まあ、俺の異世界生活はこれで終わりらしい。最後に人らしいことが出来てよかったよ。誰にも気づかれず、一人孤独に息絶えるなんてゴメンだからな……これはこれでいい終わりだと思う。


 確かに、やり残したこともあるし、未練タラタラだけど、うん。これでいいから、これでいいから、ちょっと!? 意識がめっちゃ残ってる! なんで!? …………これは、しんでない……の?


 体だけ無いとかじゃねえよな!? 行くぞ? 



 いっせーのーで!!!



「うおわぁぁぁぁぁぁぁ生きてたァァァァァァ!!!」


 異様に長いこと意識がはっきりとしていたので、起き上がれるんじゃね? と体を思いっきり起こしてみると、思いのほか結構簡単に起きれた。てか、生きてた。

 俺が生への実感を十二分に噛み締めていると、後ろの方から、


「うおーっ、生きてるぞー!」

「心配かけさせやがってコノヤロー!!」



 様々なヤジが飛んでくる。

その声を聞いて、俺は立ち上がりガッツポーズをして振り返り、


「生きてるぅ!!」


 後々考えれば、クソ面白くもないことを言っていたと気づいたが、あの時の俺はその事実だけで頭がいっぱいだったのだ。










「さて、一から説明してもらおうか?」


 脱出に成功し、話し合った結果。みんな散り散りに逃げようということになった。そんな中、俺はヤズヤ君を追いかけ、正体を暴こうとしている。

 詳しい話は後だ、って言われてたしな。


「俺は――ラルク」

「ラルク?」


 突然飛び出した単語に、俺は首を傾げる。


「名前だよ名前。お前は?」


 ああ、名前か! と納得し、俺は問の答えを返す。

 


「俺の名前は――――」


 ここで、言葉に詰まる。

待てよ、俺は、この世界に転生してきた。元の世界と完璧に隔離され、俺を知る人がいないこの世界に。

 これはある意味チャンスじゃないか?


俺はマンガの主人公のように、熱くもないし、優しくもないし、強くもないし、コミュ力があるわけでも、危ないとこで機転を利かせることも、なんにもできない出来損ないだった俺が、変わる一世一代の大チャンスじゃないか? 弱かった自分と決別し、強い自分に生まれ変わるんだ。


 そう――俺は、


「俺の名前は、シーだ。よろしくぅ!」


 この時ほど、機転の利かない自分を恨めしく思ったことは無い。


 強そうな名前、と聞かれて真っ先に思い浮かんだのが『ツヨシ』だがしかし、それはあまりにも安直すぎる。ということで、ツヨシからもじって『シー』まあ一応、元の名前に海が入ってたりする。

 適当もいいところだが、あの一瞬でかっちょ良くて強そーな名前が思いつかなかったんだからしょうがない。


 うん、しょうがない。俺のセンスが無いわけじゃない。しょうがないんだ。









 名前のみの自己紹介を終えた俺たちは、早速本題に入ろうとしていた。


「それで結局、ラルクはなんのためにあそこに来てたんだ?」


 言葉では説明出来ないものの、ラルクは明らかに、あそこにいるような人間じゃない。上手いこと生き抜いて、スラム街みたいなところで鉄砲玉として使い捨てられそうなやつだと思う、うまく伝えられないがそんな感じなんだよ。


 歳は高校生の俺と同じぐらいで、髪はショートで朱色。端整な顔立ちで、目付きが鋭い。

 うーん。五十点!


 閑話休題。


「……俺はあそこに用事があったんだよ」

「用事?」


 あんなところに用事……? 今までも不思議だった話が一気に不思議度を増したぞ。


「えーっと。いや、その前にお前だ」


 ラルクは少し頭に手を当て考えた後。こっちに目線を向けてくる。


「俺?」


 その問が、俺の何についての問なのかわからず首を傾げる。

 ラルクはそんな俺にため息一つついて話を続けた。


「お前の体。いったいどうなってるんだ?」

「俺の体?」


 その問で、俺の首は戻ることなく、さらに深く曲がる。


「さっきのアレ。全員が銃器の故障だと納得していたが――」


 さっきのアレとは粒子破壊砲のことである。


「そんなことは無い。アレは完全に作動していた。だから本当ならお前の体をバラバラにしていたはずなんだ」


 ラルクはそうスラスラと言っていたが、所々に不安が見られた。そんなラルクは、敵意を少しだけ含んだ目で俺を注視し、はっきりとした口調で、


 ――お前は一体何者なんだ?






 少しだけ、話しづらい雰囲気が続く。

そのあいだに、俺は自分の現状を少しだけ整理して、口を開く。


「俺か? 俺は世界最高峰の魔法使いにして世界最強の武闘家! さらに王様の孫で賢者の祖母がいる。シーだ!!」


 そう言い退けると、ラルクは面食らった様子を少しだけ見せ、こう言ってきた。


「そうか。それじゃ、俺の名前はラルク。この世界に未練がましい怨霊共を取り払う『ネクロマンサー』ラルク・アクロイドだ」



 そうして俺たち二人は硬い握手をしてプロローグと一緒に綺麗に終わりを告げた。

 なんだかんだ言いつつ。10日経過しました。

ま、そんなことはどうでも良くて。

最近プロット通りに物語が進まない奇病に罹りました。

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