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魔族女子による人間世界大改造  作者: けちゃねーず
2/3

とりあえず王と会議

 ここが人間の世界。

 冷たく澄んだ水。おいしい空気。松の木の香り。

 魔界の全住民が移住したくてたまらない世界。


 そのなかでも人気ナンバーワン物件という歴史ある王国「オーリア」に来ている。

 目的は人間世界の国王たちを集めて、現状の説明とこれから流れを話し合う会議を開くこと。


 実質、私「魔王」からの招集なので逆らえばその国はそこでゲームオーバー。

 とりあえず規模の大きな7カ国の王を呼びつけておいた。


 「我が呼び声にこたえてよくぞ集まった人間の王たちよ。私が魔王だ」


 王宮の会議室。レッドカーペットが敷き詰められて、目の前には金で装飾された大理石のテーブル。そしてそこにつく7人の王たち。

 一応の側近を連れてきている者もいて、オーリア王は王妃も同席しているようだ。


 「魔王ってこれが?」

 「まだ子ども、いやお嬢ちゃんじゃないか」

 「隣の黒魔導士の方かと思ったがそっちはお連れだったのか」

 

 はいきましたお約束。

 確かにまだ背は低いし童顔だし胸もイマイチだけど、これでもお前たちの誰よりも年上。

 人間の感覚で魔族を見るな。


 「ま、魔王様・・・」

 「構わん。想定の範囲内だ。続けるぞ」


 王たちに資料を配って世界の現状の簡単な説明から入る。


 今回もっとも重要なテーマとするのは経済。


 魔界経団連の調査によると、人間界のどの銀行も商業ギルドも粉飾まみれで、歳入や負債のまともな金額すら誰も把握していない。

 各国家の税金もどのようにして流れて、何に使われているのかがまったく掴めなかったと聞いている。


 黒魔導士と一緒になってこの点をまず突いてみた。


 「そんなこと言われてもなぁ。国営でも銀行は銀行、ギルドはギルドだし」

 「うちはそういうの全部、大臣が仕切ってるから」


 まぁそうだろう。

 王はお飾り、実務は大臣や官僚と決まっている。

 

 この世界の王は、税金で食っちゃ寝してたまに式典で挨拶するだけの簡単なお仕事です、という認識。

 現実を突きつけてそこを改めさせないと、国家としてこの先生きのこれない。


 「オーリア王。この国の人口は何人だ?」

 「え?」

 「自分の国の人口がどのくらいいるのか知ってるかと聞いている」

 「え、え。あー、えーと・・・」


 やっぱりね。統治者としての自覚ゼロ。


 「人口は収入源だ。人口が分かれば税収が分かる。それを把握すれば支出の限界が分かる。無駄遣いが減れば債務を返せる。簡単なことだろう」


 税は国家の大黒柱。王がその金額を知らないなんてありえない。

 

 「黒魔導士、説明してやれ」

 「御意。魂の数で数えると、オーリア国に定住してると思われる総人口は現在約6600万人です。奴隷だった獣人やエルフもいるため全員が人間とは限りませんが」


 なんかポカンとしてるこの王。初めて聞いたみたいな顔してるし。

 

 「ほお、オーリアはそんなにいるとはな。ところで魔王、ひとつよろしいか?」

 「なんだ?」

 「先程もらった資料なんだが、ワシは、その・・・」


 え、なに指合わせてモジモジしてるのこっちの王は。

 ひげ面でそんなことされても全然かわいくない。


 「はっきり言え。資料がどうした?」

 「読めん」

 「・・・はぁ?」

 「ワシは文字が読めん。計算も知らん!」


 はあああ????

 なんだそれ・・・。

 仮にも一国の王様が文字読めないとか、どれだけ教育レベルが低いの人間界。


 「計算なぞ卑しいこと、大臣か商人連中に任せておればよいじゃろう!」

 「そうだそうだ!」

 「も、もともと文字の読み書きはわが国では女々しい行為!男は男らしく剣に生きればそれでよいのだ!」

 「よく言った!」

 「流石は武人。ご立派じゃ!」


 ダメだこいつら。早く何とかしないと・・・。

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