【学祭編】 Ⅴ 高望み
元カレ、元カノといきなり対面するのは誰もが精神的に少なからずダメージを負う筈だ。
一時的でもお互いの想いが通っていた相手との再会。それに加え、今思っている相手が違うとなると更にややこしい。
それとも、人は一生他人と想いを通わせる事は出来ない生き物なのか。絶対にわかり合う事が出来ないのか。
だとしても、目の前で死なれた相手ともう一度会うなんて、とってもツイていない。
学園祭、火組連合対風組連合 第三ウェーブ。
風組連合が第二で放った打開策は見事に火組に抑えられ、変わらず火組が有利。
風組の次なる打開策は…。
「ガーッハッハッハァ!貴様がアンナ、そしてブランドだなぁ!掩蔽団守備隊隊長、タウラーンとは俺の事ッ!どれ程の実力か試させてもらう、行くぞセケル!」
そう言うとタウラーンの両肩の盾が開く。
中には橙色の球体が埋め込まれていた。
Invincible Gear Shield システム。
球体が盾を離れ浮遊し、そこから辛うじて視認できる薄い膜。球体より二回りほどの所にあるそれは、強力な防御壁。
そして、八つほどある内からセケルが両手に一つずつ手に取る。
そう、全てを防ぐ盾で、相手を押し潰し、殴るのである。
「さぁ!避けてみせろ!でなければIGSに潰されて終わりよッ!」
「ブランド!お前は後ろから援護しろ!大剣のお前は凄まじく不利だ!」
アンナはそう言うと同時に手を横に薙ぎ、セケルに向かう。
あり得ないほどの水が現れ、水流がIGSに迫る。
「ほう…!時間を稼ぎ、そのまま一人ずつ倒す算段か、だがな!」
「ッ!?」
セケルに触れられた物体は彼女の思い通りに動く。
それを利用した超変則な二基の波状攻撃。タウラーンを水流で止めたものの、セケルを止める術はアドリブでどうにかするしかない。
「鎌も…防げる…?」
「…当然!」
軽々と剣で受け止めたアンナに、セケルは笑いかける。
「でも…両手、塞がっちゃったね…。」
「がふっ…!!」
左右の肋骨をIGSで攻撃される。
勿論鎧を着ているが、衝撃は体に届く。
「すごいね、IGSで壊れない鎧なんて。」
「アンナ様っ!」
ブランドがセケルの側面から大剣を振るう。
そこからは炎が走り、壁となる。
しかし、舞うように躱されると、壁を突き抜けてIGSが向かってくる。
「クソ…片方が動かないからいいものの、一人だけでもこれ程とは…。大丈夫ですか、アンナ様。」
「あぁ…助かった。」
「…次はないからね…確実に倒す…。」
炎の壁の中から出てくると、変則機動で揺さぶりをかけ、一気に鎌でアンナへ向かう。
「生徒達の攻撃を乗り切ったと思ったら、あなたなのね…!」
「…久しいな、ノアよ。」
風組拠点前。ノア・リーゼロッテと相対するのは、掩蔽団団長、アガム。
「どこに行ってたの?。」
「帰省だ。実家にな。」
「アンナ達に連れて行かれたのに…?」
「あぁ。父親が私の顔を見たいと…それで来いと言われていたのだ。」
ノアは少し安心した顔をする。
「よかった。酷いことされた訳じゃないのね。」
「あぁ…だが、そんな顔をしている場合ではないな。」
アガムの言葉にノアは剣を構える。
「あなたが第三ウェーブの助っ人ね…。」
「あぁ…アガスティアとお前の関係を聞いた時、私は後悔したよ。お前を掩蔽団に置くのは、正直に言うと気が引けた。」
「だからって、アンナと交換なんて嫌よ。」
「交換ではない。お互いが適した隊につくだけの事だろう。お前は星群が居場所だ。」
「私は彼の命を償う為に!」
「必要ない。アガスティアも、掩蔽団にいるお前を良くは思っていないだろう。」
「でも…!」
アガムが剣を構える。
長い鎖がついた青い剣。
これ以上の話し合いは必要ない。と、目で語るアガムに、ノアは驚く。
その瞬間である。
少し離れた所から、一気に鎖が伸びる。
剣で払うと、目の前に斬りかかろうとするアガムが映る。
「っ…!!」
連続で剣を振るうアガムに、なんとか応戦する。
側面からの鎖を弾くと、アガムが距離を取った。
「…やはり、私だけでは時間内に勝つのは難しそうだな。」
「…何を…?」
アガムの口が少し動く。
首の前に赤い剣があるのに気付く。
「〜!!!!!!」
紙一重で屈み、避ける。しかし、四方八方から赤い剣がノアへ向かう。そして、アガムの青い剣も。
「こ、これはっ!?…」
星剣を横に薙いで、魔力を飛ばし無理やりアガムを自分から離れさせる。
その後の光景にノアは目を疑う。
「…ど、どうして…。」
「見ろ、アガム。奴の驚く顔を。あの時は絶対に見せなかった顔だ。わざわざ来た甲斐があったわ。」
アガムの横にいるのは、赤い剣を持った竜。
アガムより少し大きい位のその姿は、見覚えがあった。
あの頃、一度だけ見た、鮮烈に残った姿。
元掩蔽団、副団長、反乱一派総括。
アガスティア。
第三ウェーブの助っ人はこの二人。
「…悪いがここで倒れてもらうぞ。」
To be continued
ツナ缶って神だと思うのです。
なぜってそりゃあそのままでも塩っけがありますし、マヨとかサラダとかあるじゃないですか。
今では予約殺到のツナ缶とかあるじゃないですか。ほんと美味しいですよね、あの手の商品。
別にツナ缶に留まらず缶詰を作った人間は神だと思います。
ビバ缶詰。




