【学祭編】 Ⅳ 隕石
学園祭対抗戦、風組連合対火組連合は火組の優勢で第二フェーズを迎える。
風組の将アルファルドは作戦通り籠城。
門番に最優の魔法剣士ノア・リーゼロッテを置き、他を全て戦場に出向かせ事の巻き返しを図る。
一方火組の将アンナ・リーゼロッテは、自ら戦場に赴き、敵支援部隊の排除に忠臣ブランド・ゼバスティアンと共に尽力する。
中央では今回のフェーズ限定での支援効果、教師による助っ人同士のぶつかり合い。
勢いは火組にあった。
「現在、我々は敵部隊の攻撃により防戦一方で…スハイル先生も相手の助っ人に足止めをされているようです!」
「そんな…事態が良くなさすぎる…。星群騎士隊長各位!状況は!」
ノアが叫ぶと、隊長達が苦しい言葉を吐く。
「ノア殿…彼らはかなり腕を上げています。兵士一人一人が星群騎士とほぼ同等に昇華されていて、尚且つ敵の首を取るという衝動に駆られた動き…我々でもかなり苦戦を強いられます。」
「ゴーウェン!弱音を吐くな!…守備力の要でもあるお前が脱落すれば、更に状況は悪化する!どうにか持ち堪えろ!私が行く!」
バーリスの激励が飛ぶと、ノアは顔を歪める。
「アンナ…一体どうやってこれだけの戦力を…!」
遠くで何かが空中を大きく移動するのが見える。
バーリスであろう。
しかし見送っている暇はない。
目の前にはゴーウェンの言った通り、星群騎士相当の兵が手柄の為に群がっているのだから。
「クッソ!…お前!防衛魔術だけじゃなかったのか!」
「防衛魔術以外も、得意なんだよぉ?☆ほらほら、氷が迫って来るよ?」
スハイルとアプラの戦いもアプラが優勢。
「テメェ…氷を魔法で生成しねェたぁ本当に面倒だぜ!…オラァ!」
槍に姿を変えた戦錕を投げ飛ばす。
途中で速度が一気に変わる投擲に、アプラは驚きつつ氷柱を作り出し防いで見せる。
「それって時魔法?…アプラちゃんに近づいてから使って直接アプラちゃんを殴れば良いのに。」
「テメェ…さらっと正面にワイヤー張ってるクセに…よく言うぜ。」
スハイルはそう言って戦錕を手元に戻す。
「あらあら…バレてるなら言って欲しかったなぁ?引っかかるの待ってたのに、解ってるなら楽しみ半減しちゃう☆…このまま時間切れまで待っても良いけど、スハイルせんせーと風組連合の皆は困っちゃうんじゃ無いかなー?☆」
アプラは笑って氷柱をスハイルに向かって飛ばす。
「ぐっ…テメェ!こういう時だけ竜の力使いやがって…!」
スハイルは後ろに飛ぶと、賭けに出る。
「さて、我々を城門の前で壊しもせず待ってる輩がいるとは、驚きだなブランド。」
「掩蔽団が一人…セケル…」
「セケル・ヘル・トナーだな、私とブランドに何の用だ。」
セケルの名乗りを潰しながらアンナは言った。
セケルは咳払いをすると、纏っている瘴気で鎌を作る。
「掩蔽団に入りたいというなら…私と守備隊長を倒して…」
そう言いながら鎌を振り上げアンナに斬りかかって来る。
「はぁ…そんな事言われ無くても…」
「ふぅぅぅん!!」
アンナの横から大剣が振るわれ、セケルを押し潰す。
「あ…。」
「がはっ!?…」
「何が覚醒者かッ!…アンナ様のお手を煩わせずとも!貴様のような奴はッ!私が焼き払ってくれる…!」
そう言ったのはブランド。
背中にあった大剣を一瞬の内に振り下ろした為、セケルは理解が追いつかなかった。
だが、石がブランドへ向かう。
地面の小石達である。
そう、今倒れた事によって触れた石全てがブランドめがけて押し寄せる。
偶然にも城門の床は大小様々な石が敷き詰めらていて、雨霰となってブランドに襲い掛かった。
「何!?…」
ブランドは後ろに飛ぶ。
「はぁ…焦るなブランド、別に苦戦しないのだから普通に戦え。キレるな、さっきので私が侮辱されたように取るなら流石に沸点が低いぞ。」
そう言ってアンナは石達を一瞥する。
石から魔力が失われ、地に落ちる。
星の魔法による魔法の相殺である。
「失礼しました、アンナ様。」
「さて、闇の覚醒者よ。掩蔽団入団試験だな?喜んで受けよう…来い!その小石達は私達には効かんがな。」
そう言うと、空から黒い物体が降って来る。
「相手は…私だけじゃない…最初に言った通り…。」
「なっ!?まさか第三フェーズは!」
騒々しい笑いと共に、鉄壁の男が現れる。
第二フェーズ残り三分、未だ火組連合優勢のまま第三フェーズへ。
第三フェーズもどちらも支援効果は助っ人選択。
風組連合は、掩蔽団から、タウラーン守備隊長を選択。
そして火組連合は、実技教師から…。
to be continued...




