【覚醒者】編 Ⅳ 【学祭】編 I 優勝候補
「ちょ、ちよっと…見てる光景がすご過ぎて…実況…し辛いです…。」
アラマズドとセケルのぶつかり合いは、五分近く続いていた。
黄金色と黒色の光の衝突が絶え間なく起こり続け、誰もが止めに入れない状況にいた。
「お、おい…どうすんだこれ…爺さん!」
アルファルドが声をかけると、カイルは笑って答える。
「まぁ、待てって。もう少し見てようぜ、楽しそうじゃん?」
「そんな事言ってたら死人が出るかもしれないぞ!いくら技術を応用したからって、完全かどうかは分からないだろ!」
「おいおい、スハイルを信用してないのか?」
カイルは呆れて言う。
「それに、もう少しでその時が来るのさ。」
「跳弾…!」
セケルがまた黒い宝石を飛ばす。
小石ではなく、特殊樹脂のボールなのだが。
不可思議な軌道で、アラマズドに迫る。
「くっ…!」
撃ち落とすが、苦しい表情をする。
「もらった…!」
セケルが宝石を再度飛ばそうとした時、強大な魔力で、アラマズドとセケルは押さえつけられる。
「準備が出来たみたいだ。アルファルド、お前はそこにいろ。万が一に備えてな。」
カイルはそう言って飛び出す。
「…っ!なんだ…この魔法はっ!?」
「…来た。」
上から降りて来るのは、二人。
学園長、カイルと、ノア。
「よっ、光の覚醒者。会うのは初めてか?」
「貴様…カイル・セイリオス…」
アラマズドはカイルを睨む。
「残念だけど、光の魔法士連の残党は全員捕まえたぞ?見えるか?」
「なっ…!」
アラマズドが客席を見ると、仲間が捕らえられていた。
「と、いうわけで、お前らの数百年かけた野望は多分これで終わりな訳だが…どうする?」
絶望した表情を浮かべ、アラマズドは口を開かなかった。
「これからどうするのですか?学園長。」
ノアは魔法による重力拘束を解くとセケルの治療をしながらカイルに言った。
「とりあえず、光の覚醒者君はこれからどうするか考えるとして、他の覚醒者達には事態の終息を大々的に発表しようかな。とりあえずは、だけど。光の覚醒者が一人とは限らないからね。とりあえず皆にはしばらく俺の学園を楽しんでもらおうかな。」
そう言うと、カイルは会場の皆に言う。
「お騒がせして申し訳なかった、今回はこの星の皆に関わる大事な事案が、とりあえず解決した事をここに宣言しておく。学園祭は明後日から一週間!しっかり楽しんでくれ!」
「さぁて、月組、風組の諸君!アルファルド・セイリオスだ。今回の作戦で一番攻略が難しいのは火組だけれど、何か案はある?」
アルファルドが大きめの会議室で言う。
風組、月組の生徒が会議に出席し、学園祭での作戦について話し合うのだ。
「我々星群に任せる、というのはあまり得策ではありません。星群の部隊長でも敵わない者が火組には数人いますので。ノア殿をぶつければ勝つ事は出来ますが…。」
「それは、戦術的に難しいですね。」
バーリスの意見に宵が口を挟む。
「芽望神無という剣士が火組にはいます。彼の剣を止めるのは並の剣士ではかなり難しく、それでいて彼は機動力があります。加えて覚醒者も…」
「わかっているよ。」
アルファルドが笑って言う。
「だから、星群との合同演習をするのはどうかな?戦力が大幅に強化できると思うし、作戦も自ずとわかってくるんじゃないかな?今日は星群だけで訓練システムを使う予定があるけど、明日からすぐに始められる。どうだい?」
決戦まで、あと五日。
To be continued
学祭シーズンですね。
元母校は土日がそうだったみたいです。
今頃振り替え休日でしょうか?響きが良いですよね。振り替え休日。




