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5話 俺の能力をクラスメイトのために使う時が来た。



 俺と小鳥はBの案内のもと、目的地へ向かって走っている。

 なぜ小鳥がついてきたのか。それは、コイツにとって俺の後ろにひっついてくるのはごく当たり前の行動だから。コイツの小さい頃からの癖。本当に世話焼きなヤツだ。


 そんな中、俺たちはBの言う『アイツら』についての話を聞いていた。


「さっき廊下で、私とCと白崎さん……三人で歩いてる時にすれ違って……」

「んで、白崎がソイツらに連れていかれたってことか」

「うん……。止めようとしても、無理で……。Cなんて、腰抜かしちゃって……」


 覇気なく事情を話すB。


 ソイツらの名前は、下須野げすのキワミと木築野きちくのショウコ。

 この町の女子のあいだでは有名な、札付きの不良二人組らしい。


「……俺はそんなヤツら、知らなかったな」

「たかちゃんは周りにあんまり興味ないしね……。それに、ここに入学してからはその人たちの噂も聞かなくなったし」

「そうなのか?」

「入学してから最近までは、たかちゃんの噂で持ちきりだったからねぇ」


 俺ってそんなに存在感あったのか……。

 近寄ってくる女子はやたら多い気はしてたけど、会話はそれほどしてないんだけどな。

 まあ、会話する前に会話どころじゃなくなるってのが実情なんだけどな。参ったぜ。


「でも、白崎さんが転校してきた頃から、ソイツらがうちのクラスの近くをウロウロしてたらしいの……。それでみんな、白崎さんと関係あるのかって思いはじめて……」


 なるほど。それで最近、白崎の周りはやけに静かだったのか。

 ソイツらに目をつけられるのが怖いから……。


「白崎さんも個性的な子だからねぇ……」


 たしかに小鳥の言う通り。白崎は両目眼帯と杖、それに奇行気味なことからすぐに一年の内で有名になった。

 そのある種のカリスマ性が、知らずのうちにソイツらの勘に障ったのかもしれない。



「あ、C……!」


 昇降口のあたりでCちゃんが座り込んでいた。

 自力で立てないようで、女の子座りのまま悲壮な顔をしている。


「C……あんたまだ腰抜かしてたんだ……」

「あ、Bちゃん……、よかった……助け呼んできてくれたんだね……」


 そして、ホッとした表情で俺と小鳥を見上げてくる。


「ありが……きゃぃぃぃぃぃぃぃぃん……っ」


 そして今度はその場にへちゃばってしまった。


「た、たかちゃん……」

「Cちゃん、すまん……。俺がもっと早く駆けつけてれば、そんなに怖い思いしなくて済んだのにな……」

「いや、ちがうっしょ。今の問題はそこじゃないっしょ」


 下駄箱にもたれかかるように息絶える(※生きてます)Cちゃんの頭をそっと撫でる。


「大丈夫……仇は必ずとってやるからな!」

「いやだから、トドメ刺したのたかちゃんっしょ……」


 小鳥が隣で何か言っていたが、俺の頭は使命感でいっぱいになっていたのでその内容までは聞き取れなかった。

 とりあえず、CちゃんはBに任せ、俺たちは再び走り出した。



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