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初心
僕には1つ上の兄さんがいる。
背が高くて、頭がよくて、
かっこよくて、そんでもって 優しい僕のたった1人の兄。
ピロロロロ・・・、ピロロロロ・・・。
「兄さん、朝だよ。」
こういいながら、蛍は薫の部屋のドアを開けると、声をかける。
「遅刻するよ?」
「・・・・今何時?」
薫は眠たそうに目をこすりながらつぶやく。
「まだ、早いんだろ?」
「もう8時だよ?」
蛍はカーテンを開けながら、薫に答える。
「・・・ごめん、後5分だけ。」
「え?っちょ、兄さん?」
そういって、蛍が振り向くと、もう薫は眠りに落ちている。
「・・・はぁ。」
蛍は一瞬あきれた顔で兄を見ると、小さく笑った。
「・・・・・仕方ないなぁ・・・。」
・・・・大丈夫、後5分ぐらいなら、寝かせておいても遅刻はしない。
そう考えると蛍は、
「兄さんきっかり5分後に、起こしにくるからね。」
そう薫につぶやいて、部屋を出た。




