08
「よし、この辺になら森のに入ってすぐだし、結構なってるからささっと集めて広場に戻るぞ」
そう言って、テオは黙々とベリーを集め始めた。
よーし、負けないように私も集めなきゃ。
ベリーはスキルを使うまでもなく森に入ってすぐ、というか森に入る前から見えていたので思ったよりも全然大丈夫そうだ。
「結構集めたんじゃない?あんまり食べると夜ご飯たべれなくてお母さんたちに怒られちゃうからそろそろ戻りましょう」
「それもそうだな、よし戻るぞ。あれ、オラクがいないぞ!」
「まさか、ベリー集めに夢中になって森の奥に入って行ったなんてことはないかしら」
「食いしん坊のオラクなら全然あり得るね」
まずい、いくら外見上子供とはいえ精神は大人のそれなのについ、つやつや輝くベリーに気を取られて周りが見えていなかった。これじゃあオラクと同じじゃないか。
とりあえず、周囲の人間で絞って探知を発動。
居た、ここからそう遠くないのは幸いだ。
「そういえば最後にこっちのほうでオラク見たかも行ってみよう」
「早く見つけて帰らないと親父のげんこつ食らっちまう。とりあえずそっちに行ってみよう」
しばらく進んだところにオラクは居た。採ったベリーを片っ端から口に入れてる。あれじゃいつまでたっても手持ちがいっぱいにならないから集め終わるわけがなかった。
「おーいオラク、そろそろ帰るぞ」
「あ、みんな、ごめんごめん。つい食べるのに夢中になっちゃって」
「ほんとオラクは食いしん坊なんだから」
「そういうイリーナちゃんも口の周り汚れてるよ」
なぬ、気付かなかった。
「それじゃあ、今度こそかえるぞー」
テオがそういったとき、森の奥のほうからドスドスと足音が聞こえてきた。
「な、何だ!?」
私たちの目の前に現れたのはボアだ。
「うわぁ!!ボアだ!」
よく見ると右目に折れた矢が刺さっておりまだ血を流している。弓矢で攻撃されたボアが逃げ出して本来いるはずのない場所にきてしまったのだろう。
「くっ、みんな逃げろ!俺が引き付ける!」
テオが前に出てみんなをかばうように立ち、近くに落ちていた木の枝を申し訳程度にボアへ向けながらにらみ合っている。
「ご、ごめん…僕、こ、腰がぬけちゃって…」
オラクが地面に座り込んでしまってしばらくは動けそうにない。
「アンナちゃん、先に逃げて大人たちを読んできて!私はオラクを何とか森の外まで引っ張るから」
「わ、分かった」
ここは町からそんなに遠くない5分もすればアンナちゃんが兵士団か冒険者の人を呼んでくれるはず。
ただ、子供で手負いとはいえ成体のボア相手に持ちこたえられるかはわからない。
ボアが、テオに向かって突進した。
真正面から受けるようなことはせず、木を間に挟みながらうまく躱している。
兵士団で訓練に付き合わされてるのは伊達じゃないみたいだ。それでも見ていてとても危なっかしいが、今はテオに任せてオラクを少しでも早く避難させなきゃ。
「重い~、これに懲りたら少しは痩せなよ」
「瘦せるから、痩せるから見捨てないでぇ!」
「見捨てないよ、変なこと言ってないで足動かして!」
オラクに肩を貸しながらゆっくりと町のほうへ向かう。
そうだ、あのボアは右目がつぶれてたから右に避ければ一瞬見失って距離をとれるはず。
「テオ!そのボアは右目が見えてないから右側のほうが避けやすいよ!」
「わかった!右側だな」
アドバイスが効いたのか、さっきよりも危なげなくボアの突進を躱せている。
ただ、所詮は6歳だ、手負いで消耗してるとはいえボアに体力勝負で勝てるはずがない。オラクを避難させて援護しないと。
何とか森の入り口までオラクを連れ出した。何とか一人で歩けるくらいまでに回復したので、私はテオを助けるために急いで戻った。
まずい、テオがボアの突進を躱そううとして木の根に引っかかって転んでしまってる!
近くにあった石を拾ってボアに投げる。
「こっちだよ!!」
「バカ!あぶねぇぞ!!」
当たるかわからなかったけど、私が狙って投げた石は見事にボアの右目に当たり痛みに悶えている。
「ブルルッ!!」
うわ、完全に怒ってるよ。でも、テオはすでに息が上がってるからここからは私が相手になってやる!




