04
むかしむかし
あるところにおおきな、それはおおきなおうこくがありました
おうこくは、ながいあいだとてもへいわでした
そこへ、にんげんのしあわせにしっとしたまものとそのおうがあらわれました
まものたちのちからはとてもきょうだいで、へいわだったおうこくのひとびとになすすべはありませんでした
しかし、かみさまはにんげんをみすてませんでした
わたしたち、ひとりひとりにきせきをあたえてくれました
にんげんはそのきせきをつかって、まものにたいこうしました
それでもまおうのちからにはおよばず、またすこしづつおいつめられてしまいました
これをうれいたかみさまは、おおきなきせきをひとりのにんげんにあたえました
かれは、いつつのきせきをつかってまおうをたおし、おうこくにへいわをもたらしました
おしまい
「どうだった?イリーナちゃんにはまだ早かったかな。これはね、お母さんが寝るときによく聞かせてくれるお話なんだ」
ほっぺぷにぷに、にあきたリリーは童話(?)を聞かせてくれていた。
内容がべたな魔王を倒す勇者の話だったけど、この話だともう魔王も勇者もとっくの昔の話ってことなのかな。
う~ん。
もっと詳しく聞きたいけど喋れないからなぁ。
「あぶぅ、あぶぶぶ!」
「ごめんね、ほかのお話もしてあげたいんだけどそろそろお店混んでくるからお手伝いしないといけないの。あ!そうだ、この後ひとりにしちゃう代わりにいいもの見せてあげるね」
そう言うと、リリーは私のことを落とさないようにしっかりと背負うと厨房のほうへ向かった。
大きな水瓶の前まで来ると両手を前に出して、
「水よ」
すると、手の先から水がドバドバと出始めて、瞬く間に大きな水瓶をいっぱいにした。
すごい!本当に魔法みたいだ。
「あ、こら!イリーナちゃん連れてきちゃダメでじゃないか」
「だって、私のスキル使うところイリーナちゃんに見せてあげたかったんだもん」
「この娘ったらスキルの議からずっとこの調子で見せびらかそうとするんだから。もういいから、イリーナちゃんをベッドに置いてきたらちょっと手伝っておくれ。少し混んできて、人手が欲しいんだよ」
「はーい」
先ほどの部屋でベッドに私を寝かせると、
「ごめんね。ちょっとお母さんたち手伝ってくる」
と言って一人になってしまった。
にしても、勇者の童話にスキルの議か。
でも、私の探知は生まれた時から使えるから別物なのだろうか。とりあえずは、スキルが一般的なものなのは確定で、スキルの議とやらでもう一個何かしらのスキルがもらえるのかも。もしくは、鑑定的なあれで、自分がどんなスキルを持っているかがわかるだけとかもありそう。
考えをまとめていると、店のほうが賑やかになってきた。
荒々しい男客の会話が聞こえてくる。
「おう!おめぇ最近ボア狩りの依頼受けてるらしいじゃねえか、あれは強さもだが探すのが大変だろう?」
「ああ、前まではな。今は数が増えて見つけるのが結構簡単なんだ。それに数が増えすぎるとあぶねえってんで組合からの報奨金も上乗せされるから今ボア狩りしない奴はモグリかバカだぜ」
「マジかよ!?でもなぁ、うちのパーティーだとあの突進を受け止められるやつがいないから戦闘もきついんだわ。お前んとこは防御系のスキル持ちがいるよな、やっぱあいつのおかげか?」
「そうだな、あいつがいなきゃうちも厳しかっただろう」
「でも、防御系のスキルだったら騎士団でもいい待遇で入れたろうになんでまた冒険者なんだ?」
「ああ、かたっ苦しいのが嫌いなんだと。規律、規律うるさくて逃げだした口よ」
「なるほどな、まあ騎士団は安定してるけど夢は冒険者のほうがあるからな。はぁー、早くCランクになって大口の依頼で一儲けしたいぜ」
「ボアも倒せない奴がCランクになったら不正で告発するけどな」
「ははっ!ちげぇねえ」
わお!冒険者にランク制度、ボアとか言ってたけど、確かイノシシみたいなやつだよな。
これは、今からワクワクが止まらないよ!
さらに男冒険者たちの会話は続く。
「スキルといえばよぉ、今年のスキルの議はどうだったか知ってるか?」
「いや、詳しくはまだ聞いてないな」
「今年は結構使い勝手のいいスキルが多かったらしいぜ、その場で兵士団にスカウトされたやつもいたとか」
「マジか。そいつは何のスキルだったんだ?」
「詳しくは俺も知らねえが、なんでも槍に関する上位のスキルだとか」
「うらやましいぜ、上位スキルなら平民でも騎士になれるかもしれねえ」
「ああ、冒険者ならCランクは確実だ」
「どうして俺は投擲のスキルなんだ…」
「いいじゃねえか、使い勝手は結構よさそうだと俺は思うけどな」
「そりゃ、その辺の石とかが武器になるのはいいけど固い敵だと効果がいまいちだし、いちいち投げナイフ買うのも出費がバカにならん」
「あー、確かに」
どうやら、食事が終わったようで彼らの会話も終わってしまった。




