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時は経ち、イリーナ達は十歳の年を迎えた。
今日は、昼にスキルの儀が行われる。刻々と今日が近づくにつれて、私の一番のひみつが暴かれるかと思うとすんごく気が滅入る。
別にすごいスキルで注目を集めるだけならもともと美少女として注目を集めるのは宿命だし、本当にどんとこいって感じだけど、騎士になるのはちょっと違うんだよな。
まあ、騎士”候補生”って付いてるくらいだしさすがに騎士候補生全員が騎士になれるとは限らないから、最悪素行の悪さで退学すればいいか。
元騎士候補生のダーティーな盗賊系美少女冒険者も肩書として悪くない。
そもそも、赤ちゃんの頃から使えてた謎のスキルだから、転生特典的なものでスキルの儀とは全くの別物という可能性もあり得る。
「ほらイリーナ、そろそろ教会に行く時間じゃないの?」
はっ、お母さんに言われるまで気づかなかった。
「うん、もう行ってくるよ」
「どんな結果でもがっかりしちゃだめよ。今はわからなくても必ず神様があなたにそのスキルを与えた理由があるのですから」
「大丈夫だよ」
むしろ、神様が私の身に余るスキルを与えてるんじゃないかって心配のほうが多いんだけどね。
今日は先に子供たちが教会に集められて、段取りの練習を簡単に行ってからそのあとに親などの観客が入れられる。
娯楽の少ないこの街では年に一度あるスキルの儀を見に来る人は結構多い。
去年は私も見に行ったけど、結果に本人以上に見てる人たちの一喜一憂が大きかったのを覚えてる。
教会の入り口ではすでにみんなが集まってた。
「遅いぞイリーナ、もうみんなとっくに集まってるぞ」
「まあまあ、落ち着いてよテオ、時間には間に合ってるんだしさ。ごめんねイリーナ、テオったら昨日からソワソワしてて多分緊張してるだけだからから許してあげて」
「うるせぇぞオラク!」
「アンナちゃんは結構落ち着いてるね」
「私は別にどんなスキルでも関係ないわ。しいて言えば商人として役立つスキルだと嬉しいけどね」
アンナちゃんのお父さんとしては、いいところにお嫁さんに行ってほしいってよくうちのお父さんに愚痴をこぼしてたらしいけど、最近アンナちゃんに説得されて商人になることを認めてくれたらしい。
「皆さん集まってますね、さあ教会に入ってください。スキルの儀について簡単に流れを説明します」
教会の扉が開きシスターが顔を出して私たちを招き入れる。
「見学の皆さんを入れ終わったら横の扉から入場します。そのあとに、オラク、アンナ、テオ、イリーナの順でスキルの儀を受けていただきます。見たことがある人ならわかると思いますが、そこまで厳正な流れがあるわけではないので気を張らなくて大丈夫です」
毎年恒例のお祭りだからね、みんな楽しければなんでもいいみたいな感じだからほんとに気楽だ。
「では、私は見学の皆さんを入れてくるので準備が終わったら呼びます」
とはいえ、さすがにみんな緊張してるのか会話する余裕もあまりなさそうだ。
しばらくすると、教会の中が賑やかになってきた。シスターが私たちを呼んだので、入場する。
沢山の人が見に来ている。どこか鼓舞するような歓声に包まれながらスキルの儀が始まった。
「それではオラク、前に出てスキルの水晶に触れなさい。神様があなたにスキル与えたスキルを映し出してくれるでしょう」
恐る恐る前に出て台座に置かれた水晶にオラクが触れる。
すると、遠くからでも目に入るくらい大きなスクリーンみたいなものが水晶から浮かび上がった。
おおー!!
観衆から声が上がる。
そこには
スキル 植物の友
植物の心を理解し、助けることで大地の恵みを得られるだろう
と表示されている。
スキルの名前とスキルの効果を示すフレーバーテキストのような説明文がわかる。
「とても良いスキルですね、農家を目指す貴方を支えてくれる力となるでしょう」
農家を目指してるオラクにピッタリのスキルだ。本人もすごくうれしそうに笑ってる。
「では次はアンナです。前に出て水晶に触れてください」
どこか振り切れたように堂々と進むアンナが水晶に触れる。
スキル 商人の目利き
あなたの目には物の価値が映る
再び上がるどよめき。
街のみんなも二人が商人や農家になりたいことは知っているから、この好調な結果に祝福してくれている。
「すげえじゃねえか二人とも!よっし、俺だって」
「それではテオよ、前にでて水晶に触れてください」
二人に触発されたテオは、自信に満ちた足取りで水晶へ向かっていった。




