01
どこかの世界、どこかの国、どこかの貴族の領都で、一人の女の子が生まれました。
なんだここ…暗くて、
苦しい…
み、水!?
息ができない!?早く水からでないと息ができない!
なんだか身体が押される。
とたん、急に明るくなった。
大きな人間に抱きかかえられた私を二人の男女が涙ぐましそうに、嬉しそうに覗いてきた。
「おめでとうございます。かわいい女の子ですよ」
あたまの上からそんな声が聞こえた。
…!?
女の子?
なんとなく転生したのかなみたいに思ってたら、性別まで変わってしまったのか。
やったー!勝ち組だー!!
生まれ変わって人生やり直しはだれしも一回は考えたことあるでしょ。
ただ、さっきから気になってるのは、周りの人の服装だ。なんというか、古臭いというか、すごく簡素な作りの服なんだよな、まるで異世界物のテンプレ世界観の中世ヨーロッパみたいな雰囲気を感じる。
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…………………
よっしゃ!!!
いや、まだだ、まだ笑うな。本当に中世ヨーロッパに時間旅行転生しただけかもしれない。
多少時間はかかるが、ゆっくりと情報を集めようどうせ赤ん坊なんだ。過去の例(?)の主人公たちだって赤ん坊のうちにできることは限られてた。せいぜい魔力使い切って量を増やしてたくらいだ。
いや!?魔法!!そうかもし、異世界だとしたら魔法があるかないかでだいぶ変わってくるぞ。というか魔法みたいなファンタジー要素がないとまだ歴史をある程度知ってるヨーロッパのほうがましになってくるな。
いったんの方針として、情報収集(行動範囲は狭いためあまり優先度は高くない)、運動(少しでも早く動き回って情報収集するため)、魔法(手掛かりは一切ないが瞑想的な方向で頑張る)。
魔法を使うためにまずは魔力を感じるところから、というのは基本(?)であることが多いため、少なくとも今はそれで頑張るしかない。
あとは、これで冒険者とかがメジャーな職業だといいんだけどな。
てか、さっきから女医みたいな人が背中を叩いてきてちょっと痛い。
あとから聞いたのだが、赤ちゃんなのにまったく泣かないから羊水が喉に詰まっているのかとおもわれていたらしい。考えごとしててまったく気付かなかった。
「イリーナったらどうしたのでしょう。まさかどこか悪いところでもあるのかしら」
「大丈夫さ。イリーナは私たちの子だよ、案外すごく賢い子かもしれないね」
それにしても新しい両親は結構な美形だ。この世界の顔面偏差値がバカみたいに高い可能性はあるが、女医さんを見るにそういうわけでもなさそう(失礼)なので将来は美少女かもしれないな。
やっぱ美形であるに越したことはないしな。
それに前世では陰キャ極めすぎて友達少なかったから今世では絶対陽キャになるぞ!
異世界物の陽キャといえば、どこにも顔が通じる盗賊系美少女だろ(盲目)。
やっぱ勇者よろしく魔王を倒したり、英雄になったりはちょっと荷が重いから一目置かれる有名冒険者くらいの立ち位置が一番楽しいからな。
となると、この世界にも主人公的な英雄とか存在するのだろうか。
私自身が、勇者だなんだ言われるのは嫌だから(自惚れ)ちょっとしたお助けキャラくらいの立ち位置を目指しますか。勇者がいるかは不明だけど。
王道冒険ファンタジーもあこがれるけど、やっぱ最近はスローライフでしょ。適当に冒険者で上から2,3番くらいのランク取ってお金に困んなきゃいいや。
とりあえず、両親の服装からして貴族はなさそうなんだよな。変な世継ぎ争いとか政戦とかも物語として楽しむ分には面白いけど、負けたらよくて一生幽閉、最悪処刑みたいな倫理観も貴族あるあるだからそこがパスできたのはでかい。
美少女確定の自分は年上の変態貴族に嫁に出されたりもありえたのか。
いや、待てよ…美少女が危ないのはむしろ平民か?これは早々に何とかしないとヤバイかもしれない。
魔法が使えたら自衛になるから楽なんだけど。現状魔法は未確定だから、最悪現代知識で貴族に媚びるのも視野に入れる必要が出てくるな。
そうなったら、ドロドロ貴族ルートになってしまうかもしれないが仕方ない、背に腹は代えられぬ。
てか医者はいつまで背中叩いてんだよ絶対赤くなってるでしょ。
結局、物理的に泣かされました。
倫理観も中世並でした。
ぐすん




